2008年3月27日(木)「しんぶん赤旗」
米軍、シーア派攻撃
イラク各地50人以上死亡
【カイロ=松本眞志】イラクでは南部の都市バスラなどで二十五日から二十六日にかけて、米・イラク軍とシーア派組織サドル師派民兵マハディ軍との間で戦闘が続きました。昨年八月以来、八カ月に及ぶ停戦が破られたことになります。
カタールの衛星テレビ・アルジャジーラによると、戦闘はバグダッドのサドルシティー、中部のヒッラ、クートなどの都市にも拡大。バスラでは四十人が死亡、二百人が負傷、サドルシティーでは十四人が死亡、百四十人以上が負傷しました。
マリキ首相は事件直後、作戦の監督のためにバスラに移動。影響の広がりを防ぐため、主要都市に外出禁止令を出しました。二十六日にはマハディ軍に対し、七十二時間以内に武器を供出して投降するよう要求、応じない場合、「厳罰に処す」と警告しました。
これに対してサドル師派指導者のアルアラジ氏は、「宗教・政治指導者が無辜(むこ)の市民を守るよう求める」と訴え、国民に抗議行動と占領当局・政府への不服従を呼びかけました。
サドル師派は、米・イラク軍が一方的に停戦を破り、マハディ軍メンバーを無差別に逮捕したことが原因だと主張。
バスラのサドル師派幹部アハメド・アリ師は、米・イラク軍が軍事作戦を開始した理由が理解できなかったと証言。「なぜならサドル師派はバスラで政府の治安活動に協力していたからだ。これには政治的思惑が背景にある」と述べました。
サドル師派は停戦を守る一方で、「反占領」勢力を結集した全国会議を開催するなど、米軍当局や政府との対立を強めていました。
米軍側は軍事作戦について、停戦を破った「ならず者」を相手にたたかっていると説明。イラク政府のダバグ報道官は「治安部隊は、マハディ軍とサドル師派の名前をかたっている連中とたたかっている」と語り、サドル師個人との対話は継続するとも述べています。
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