2008年3月27日(木)「しんぶん赤旗」
武道の授業必修化どう考える?
〈問い〉 先ごろ、文部科学省が発表した新学習指導要領は、中学の授業に武道を必修科目にするとしていますが、日本共産党は武道、特に剣道や柔道についてどのように考えていますか。(東京・一読者)
〈答え〉 剣道や柔道はわが国ではぐくまれた伝統競技であり、とりわけ柔道は国際的に普及しています。
日本共産党は綱領で「文化各分野の積極的な伝統を受けつぎ、…スポーツなどの多面的な発展をはかる」としており、当然、剣道、柔道、空手もその中に含んでいます。
戦前、特に剣道が侵略戦争の道具に動員され、学校の教授方針で「攻撃精神」「必勝の信念を振起」が強調されました。そのため、戦後の一時期は禁止され、関係者は率先して武道の民主的発展に努めてきました。
その後、学校体育で選択必修として武道が採用されましたが、日本共産党は、他のスポーツ教材と差別したり特別扱いしたりしないことを強く求めました。現在もこの見地をつらぬいています。
この点で、新学習指導要領での武道の必修化の方向は、学校体育を偏向させる恐れがあり、慎重な検討が必要だと考えています。背景に「愛国心、伝統の尊重」をかかげる改悪教育基本法があり、剣道などの武道を無理やりその手段にしていく意図が込められているからです。
スポーツを教材とする学校体育が、バレーボール、サッカー、剣道などを問わず、相手を尊重し、伝統の様式を大切にし、決められたルールを守り、各人の資質向上を図ることは当然であり、武道だけが特別なものではありません。
したがって、武道を他の教材から切り離して、「愛国心」などと結びつけることは、かつての苦い歴史の教訓を反故(ほご)にするものであり、戒めなければなりません。
剣道や柔道の普及にかかわっては、防具が高い、道場が少ない、指導者がいないという現状にメスを入れることが求められています。画一的に必修化されれば、保護者の経済負担が増えるばかりです。
日本共産党は、剣道・柔道などの伝統競技の発展のうえでも、その環境整備の拡充に力を注ぎ、その定着に努めます。(鳥)
〔2008・3・27(木)〕