2008年3月29日(土)「しんぶん赤旗」
「キリストの幕屋」とはどんな集団?
〈問い〉「キリストの幕屋」とはどんなグループなのですか? 原始福音とか無教会主義と自らを称し、キリスト教の一派であるように思われましたが、一方で反動的な歴史歪曲(わいきょく)をすすめる日本会議や「新しい歴史教科書をつくる会」、北朝鮮拉致被害者「救う会」などの活動で中心的な役割を担っているとのウェブ情報もありました。(北海道・一読者)
〈答え〉 原始福音・キリストの幕屋は、弘文堂刊『新宗教 教団・人物事典』(平8)によれば、プロテスタント系の教会員になって熊本で聖書研究会を主宰していた手島郁郎氏が1950年に「聖霊の御業」が働くようになったと布教活動を本格化させた集団で、1961年に熊本県の認証をうけて宗教法人になっています。文化庁編『宗教年鑑』には文部科学大臣所轄の単立宗教法人「キリスト聖書塾」手島千代子代表役員(死去した郁郎氏の妻)となっており、名前を使い分けて、活動しているようです。
その「宗教活動」は、この集団のホームページによれば、「日本的個性をもつキリスト教でなければ、大和魂をふるい立たせることは出来ません」とか「日本には明治天皇のような、天を仰いでまつりごとをなされる高邁な御方がおられました」というように、聖書を反動的に歪曲した教義によって「日の丸」掲揚のもとで「宗教儀礼」をおこなっています。この集団の立場は、改憲右翼団体の日本会議や、「沖縄戦で日本軍は県民に『集団自決』を強要していない」と主張する新しい歴史教科書をつくる会などと共通していますから、これらの団体の運動と容易に結びつきます。キリストの幕屋などと名乗ってはいますが、日本のキリスト教界では、聖書解釈がまったく異質であり、キリスト教の諸系統のどこともいっさい無関係とみなしています。
「聖書を深く読めば読むほど、民主主義というものには反対です」と、きわめて危険な教義にたって、「昔の武士は、“生きるも、死ぬも、すべては主君のために”と言って、烈々たる精神に貫ぬいて(ママ)生きていました」などと封建時代の支配者の思想を理想とする時代錯誤もはなはだしい集団です。日本会議などでさえ口にすることをはばかる主張を展開しているこの集団の策動を許さない、社会的な批判が必要です。(平)
〔2008・3・29(土)〕