2008年3月30日(日)「しんぶん赤旗」
戦闘拡大 死者300人超
米軍、バスラで地上戦
イラク
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【カイロ=松本眞志】米・イラク軍とイスラム教シーア派のサドル師派民兵との戦闘が続くイラクでは二十八日、米軍が南部の都市バスラを空爆後、市内に入って初めて民兵側と戦闘を交えました。米軍の本格介入です。ロイター通信の集計では、二十九日までの五日間のイラク全土での死者は三百人以上となっています。
バスラでは、マリキ首相自身がイラク治安部隊三万人の軍事作戦を監督していましたが、民兵側の予想以上の抵抗に直面し、武器の引き渡し期限を四月八日までに延長するなど作戦の手直しを強いられています。英軍もバスラ空港を拠点に空からの「救援」活動に乗り出しました。
カタール衛星テレビ・アルジャジーラは、現地の病院関係者の情報として、これまでにバスラでは百八十人が死亡し、五百人が負傷、二十九日には米軍の砲撃で八人が死亡し、七人が負傷したと報じました。
戦闘はイラク各地にも飛び火し、首都バグダッドでは、米軍の攻撃で二十七、二十八の両日で民兵側に約四十人の犠牲者が出たもようです。包囲下にあるサドルシティーに米軍ヘリがミサイル弾を撃ちこみ、市民四人が死亡しました。民兵側の反撃も激しく、占領当局施設や政府省庁が集中する「グリーン・ゾーン」に対するロケット砲攻撃で、ハシミ副大統領が執務する建物に砲弾が着弾して警護員二人が死亡、四人が負傷しました。
南部のディカル州ナシリヤでは戦闘で警官四人が死亡、中部のワシト州クートでは三日間の戦闘で市民四十五人が死亡し、八十七人が負傷しています。
サドル師は、マリキ政権の投降の呼びかけを拒否し、アラブ連盟首脳会議参加の各国代表に向けて、「イラクから自爆テロとテロリスト、占領者を排除するたたかいを支援してほしい」と呼びかけました。
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