2008年4月3日(木)「しんぶん赤旗」
軍事に秘密特許検討
経産省が非公開で議論
吉井議員追及
経済産業省が、軍事に転用できる技術を含む特許情報を非公開とする「秘密特許制度」を導入するための研究会を非公開で行っていることが、二日の衆院経済産業委員会で明らかになりました。日本共産党の吉井英勝議員の質問によるもの。吉井氏は「原則公開の日本の特許制度に風穴をあける重大な問題。まして非公開での議論は許されない」と追及しました。
この研究会とは、同省産業政策局長の私的研究会「技術情報等の適正な管理の在り方に関する研究会」で、昨年十月に設置されました。この日の委員会で鈴木隆史経済産業政策局長は、「技術情報等の適正な管理のための処方策を総合的に検討するもの。秘密特許の問題は幅広い検討の中で、安全保障上の機微な情報に関して議論している」と認めました。
研究会(座長=土肥一史一橋大大学院教授)の委員は十五人。太田文雄防衛大安全保障・危機管理教育センター長、丸島儀一キヤノン顧問弁理士などが顔をそろえていますが、委員の名簿は、吉井氏の要求で初めて明らかになったものです。会議は非公開で、これまで議事録も作成していないといいます。
日本の特許制度は「原則公開」の立場をとっています。重複投資を防止し、公開することで権利を保障しようというもの。特許法では、出願後十八カ月を経過したら公開することを義務づけています。
経産省は「近年、ニコン事件、デンソー事件、イージス艦秘密漏えい事件など、産業情報の流出が産業競争力および安全保障上の大きな問題になっている」と秘密特許制度導入の背景を説明しています。秘密特許制度は、戦前の日本にあったもので、戦後の一九四八年には廃止されたもの。導入されれば防衛省や軍需企業によって、秘密の範囲が拡大されるおそれがあります。