2008年4月5日(土)「しんぶん赤旗」

「靖国」上映中止

発端は自民議員の横ヤリ

事前試写会を強要 国会で執ように問題視


 靖国神社を題材にしたドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」の上映中止をめぐり、映画界に波紋が広がっています。

 その問題の発端には、自民党の「靖国」派の国会議員でつくる「伝統と創造の会」の稲田朋美衆院議員(同会会長)らが事前試写会を強要し、国会でも繰り返し公的助成をめぐって質問したことがあります。

 国会では、自民党の二議員が、「中国の映画で、日本映画とはいえない」とか「政治的宣伝意図を有している」と決めつけ、助成金の返還を求める質問をしています。

 水落敏栄参院議員は、「不快極まりない映画」「反靖国の映画」とまでいい、「極めて客観性に欠ける」ことを理由に「われわれの税金である七百五十万円を返していただきたい」と要求。

 有村治子参院議員は、小泉元首相の靖国参拝違憲訴訟の原告が出演していることから、映画が政治的宣伝を意図していると主張しました。審査にあたった専門委員の一人が、憲法を守る立場をとっていることまで問題にし、「社会人としての常識的感覚的(ママ)がない人ばかり」ではないかとまで述べています。

 稲田議員は「(試写が)事前検閲とか表現の自由に対する制約と言われることは、弁護士出身の議員として心外」と言いますが、事前試写会や国会質問が圧力となって上映中止になった経過は消えません。



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