2008年4月5日(土)「しんぶん赤旗」
主張
道路特定財源
浪費の温床を復活させるな
「暫定税率」を十年延長する法案の審議が参院で始まりました。
三月末で道路特定財源に関連した二つの法律の期限が切れました。ガソリン税などの税収をすべて道路建設につぎ込む特定財源化を定めた特例法と、ガソリン税の増税など暫定税率を定めた租税特別措置法です。
特例法の失効で、果てしなく高速道路をつくり続ける「自動装置」となってきた道路特定財源は一般財源となり、道路にも社会保障にも教育にも使えるようになりました。
もともと一般財源だったガソリン税を、「臨時措置」で道路建設の特定財源にする制度が半世紀前にスタートして以来、初めてのことです。
期限切れで新たな状況
特定財源を倍近くに膨らませてきた暫定税率の上乗せがなくなって、ガソリンが値下がりしています。
暫定税率の維持に固執する政府・与党は、廃止すると国民生活が大混乱に陥ると宣伝してきました。これが国民への脅しでしかなかったことは、実際に大きな混乱も起きていない現実が証明しています。大混乱をもたらすとすれば、政府・与党が暫定税率を復活させて再びガソリン税を増税するときです。
一般財源化と暫定税率廃止を求める圧倒的な国民の声と、国会で政府・与党をたじたじとさせた論戦が、道路特定財源を期限切れに追い込む原動力となったことは明らかです。これまでにない新しい状況が開けた今、大事なことは、浪費の温床である道路特定財源と、その浪費を加速する暫定税率の復活を許さないたたかいです。
世論と国会論戦に追い詰められた福田康夫首相は二〇〇九年度から一般財源化すると表明しました。ところが政府・与党は、期限切れで失効した特例法を復活させる、いわば“道路特定財源復活法”を衆院の再議決で成立させようとしています。
“復活法”を許さないたたかいには極めて重要な意味があります。復活法は十年間にわたってガソリン税などをもっぱら道路に充てる特定財源化を続け、その間の道路建設の事業量を政府が決めなければならないと定めています。特定財源化と道路中期計画、暫定税率に根拠を与える本丸の法案です。
来年度から一般財源にすると言明しながら、他方で十年後まで特定財源を続ける法案を数の力で強行するのは根本から矛盾しています。こんな法律は通すべきではありません。
首相は十年で五十九兆円の「道路中期計画」を「五年」に短縮するとのべました。期間を短くしても、「総額先にありき」で高速道路を際限なくつくり続ける仕組みに変わりはありません。従来の長期計画は「五カ年計画」が普通だったのであり、野放図な十年計画を元の五年計画に戻すだけです。何より、閣議決定した政府の文書自身が、事業総額を前提にした公共事業計画は「硬直的」で、経済・財政の変化にも対応できないと批判しています(〇二年版「構造改革と経済財政の中期展望」)。
「中期計画」の撤回を
首相は三日付のメールマガジンで道路特定財源の方針を説明し、娯楽用品への支出など「無駄遣いの根絶」を約束しています。国民の血税である特定財源でマッサージチェアやカラオケセットを買うなど論外ですが、大もとの特定財源と中期計画そのものこそ巨大な無駄遣いです。
一般財源にするというなら、道路特定財源と暫定税率の復活は中止し、道路中期計画は撤回する以外にありません。
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