2008年4月6日(日)「しんぶん赤旗」
主張
薬害肝炎
全被害者救済の恒久対策急げ
肝炎患者救済の恒久対策を検討していた与野党協議会の協議が、自民・民主両党によって打ち切られました。前国会では、薬害C型肝炎患者を救済する薬害肝炎救済法が全会一致で成立(一月十一日)し、その付帯決議には肝炎患者の恒久対策が盛り込まれています。
恒久対策は、薬害C型肝炎訴訟原告団・弁護団をはじめ肝炎患者らが強く求めていたもので、与党と民主党もそれぞれ恒久対策をうたった法案を国会に提出しています。直ちに協議を再開し、恒久対策を実現すべきです。
全会派の参加で協議を
与野党協議会は昨年十二月に全会派が出席して一回目の協議がおこなわれて以降、与党の自民・公明と民主の三党だけで非公式協議をつづけてきました。三月二十七日の与野党協議会では日本共産党の小池晃参院議員が、三党だけで協議してきた問題を指摘し、「恒久対策は党派を超えて一致点を見つけるべきだ」と全会派での協議継続を主張しました。これこそ国民の期待に応える道です。
薬害肝炎救済法は、C型肝炎訴訟原告団の要望を反映するとともに、薬害を発生させ被害を拡大した国の責任を明記しています。三百五十万人といわれる肝炎で苦しむ全員を救済する方向性を示しており、「全面解決への土台が固まった」(原告団)といえる内容です。
同時に救済法では、予防接種の注射器の使い回しでB型肝炎ウイルスに感染したり、血友病など先天性の病気の治療が原因で肝炎になった患者が救済対象から外れています。血液製剤がフィブリノゲンと第九因子製剤の二つの種類に限定されたり、カルテがない人の問題もあります。
このため三百五十万人といわれる肝炎患者のうち、実際に救済されるのは千人程度とされ、抜本的な対策が切望されています。
恒久対策の必要性では、与野党を超えて全政党が一致しています。前国会には、与党が衆院に「肝炎対策基本法」を提出し、民主党は参院に「特定肝炎対策緊急措置法案」を提出しています。治療費の負担軽減のあり方など問題もありますが、全会派が参加した与野党協議会での協議を通じて、できるだけよりよいものをつくる努力こそ求められています。
C型肝炎訴訟の原告らは、二〇〇二年十月に国と製薬会社を相手に初めて提訴して以来、全国の五つの高裁・地裁で五年余にわたって命がけで頑張ってきました。お金のためではない、全員一律救済でなければだめだと訴えてきた頑張りが、世論の共感を広げ、政治を動かし、三百五十万人すべての肝炎患者を救済する恒久法づくりの扉を開きました。
国の責任や再発防止策と合わせ、加害企業の責任と謝罪・償いを盛り込んだ肝炎の総合対策を示した法律を今国会で成立させることは、肝炎訴訟の原告・弁護団の悲願です。そのために自民、公明の与党と民主党は、与野党協議会を決裂で終わらせず、早急に協議を再開すべきです。
恒久対策で全面解決を
C型肝炎訴訟の原告と被告の国との間ではいま、各地の地裁・高裁で和解がすすみ、具体的な救済が始まっています。原告らにとって、すべての肝炎患者を救済する恒久法が成立してこそ、心から和解したといえます。置き去りにされる患者を一人も出してはなりません。
国会は、肝炎問題を全面解決する立法化の実現が問われています。日本共産党はひきつづき恒久対策の実現に力をつくします。
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