2008年4月7日(月)「しんぶん赤旗」

改憲派が“二正面作戦”

国会の審議を促進

「九条の会」に対抗


 五月の憲法記念日の前後に大会を予定している改憲推進各派は、国会で改憲案を審議するための憲法審査会の始動を狙う一方、改憲世論を喚起する二正面作戦で新たな展開をはかる構えです。

来月、初の大会

 自民党、民主党、公明党、国民新党の衆参国会議員百九十一人(三月四日現在)が加わる新憲法制定議員同盟(会長・中曽根康弘元首相)は五月一日に、初めて議員中心による「新しい憲法を制定する推進大会」を東京都内で開きます。

 大会のスローガンは、「歴史・文化・伝統の香り高い憲法を」「国際平和を願い、他国とともにその実現のため協力し合うことを誓う憲法を」など。国家主義と海外で戦争ができる国づくりを可能にする改憲方向を打ち出しています。

 大会には日本経団連、経済同友会、日本商工会議所の財界三団体の代表が出席を予定しています。財界団体がこぞって改憲勢力を支援し、バックアップする姿勢を示すことになります。

 一方、昨年まで議員同盟と大会を共催してきた「新しい憲法をつくる国民会議」(堀渉理事長)は五月三日に一般を対象にした独自の「改憲国民大会」を開きます。

 別々に大会を開くのには理由があります。

 同国民会議役員は「役割分担といっていい。議員同盟は国会議員を中心に国会の憲法審査会で調査審議を進める。運動団体のわれわれは『九条の会』などに対抗する改憲世論を広げる草の根の活動に取り組む。それぞれの立場から大会を開くことにした」と述べています。

世論に対抗意識

 草の根レベルで広がる「九条の会」の活動に対抗し、改憲世論を盛り上げる狙いを隠しません。

 同国民会議の取り組みは、タイアップする新憲法制定議員同盟の「『九条の会』に対抗していくのにどうしたらいいか、今後の活動の大きな焦点になる」(三月四日、同議員同盟緊急総会での愛知和男幹事長発言)との方針を受けたものです。

 日本会議など「靖国」派が中心の改憲団体・「21世紀の日本と憲法」有識者懇談会(民間憲法臨調)も憲法記念日当日に発表する緊急提言「国会は『憲法審査会』での改憲論議を急げ!」をテーマに自民党議員などが参加する憲法フォーラムを開きます。

 近年の世論調査では九条の改憲は「必要」とする回答が漸減傾向にあります。改憲を政権の正面課題にすえた安倍晋三内閣が昨年九月に自壊したこともあり、改憲派は世論に逆行する巻き返しに懸命という構図です。



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