2008年4月10日(木)「しんぶん赤旗」

イラク戦争

「重大な戦略的誤り」

米上院委公聴会 オバマ大統領候補が主張


 【ワシントン=西村央】米上院の軍事、外交両委員会で八日、イラク駐留米軍の削減見通しについての公聴会が開かれました。証言に立ったイラク駐留米軍のペトレアス司令官とクロッカー駐イラク米大使は駐留継続の必要性を主張。質問した共和党のマケイン上院議員がそれを支持したのに対し、民主党の大統領候補指名を争っているオバマ、クリントン両上院議員は米軍の撤退を訴えました。

 午前中の軍事委員会で発言したクリントン議員は「今こそ秩序だった軍の撤退を始めるべきときだ」と主張しました。ブッシュ政権が米軍増派の目的としてあげたイラク復興や政治プロセスの進展で前進が見られていないと指摘。五年を超える戦争で戦闘部隊が三度目、四度目とイラクに送られるなか、兵士の精神疾患が広がるなど、軍自体への負担も大きいことをあげました。

 午後からの外交委員会で発言したオバマ議員は「イラク戦争には重大な戦略的な誤りがあった」と強調。イラクがイランと正常な隣国関係を確立できるような外交的努力や米軍の撤退策の必要性を訴え。米軍のイラク侵攻後に、それまで存在しなかったイラクのアルカイダが出現したこと、イランの影響力が拡大したことを指摘。この二つがいまの困難の要因になっていると述べました。

 午前に開かれた軍事委員会での公聴会で、共和党のマケイン議員は「米国がイラクに安定をもたらす前の撤退を選択するなら、みすみす勝利を犠牲に敗北することになり、それは恐ろしく長期に尾を引く」と表明。米軍の駐留継続の必要性を強調し、現時点での米軍の撤退については「反対」を表明しました。

 公聴会は、証言者に質問しながら、持論をまじえるという形。論点は限定されましたが、軍の撤退問題での対立は鮮明で、今後、大統領選挙本番に向けた論戦の端緒となりました。



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