2008年4月17日(木)「しんぶん赤旗」

首相答弁にみる

与党がいう「必要な道路」

高速道路推進と同義


 今後十年にわたり道路特定財源を維持することを目的とする道路整備財源特例法改定案の質疑が行われた十六日の参院本会議。福田康夫首相の答弁からは、二〇〇九年度から道路特定財源を一般財源化するという一方で、高速道路を中心とした従来型の道路建設に固執する、矛盾に満ちた姿勢が浮き彫りになりました。

 政府・与党が十一日に決定した、道路特定財源の「一般財源化」に向けた方針には、「必要と判断される道路は着実に整備する」との文言が盛り込まれました。

 この日の質疑で民主党の辻泰弘議員が、昨年十二月の政府・与党合意にあった「真に必要な道路建設」との違いをただしたのに対し、福田首相は、「『真に必要な道路』と、今般の政府・与党決定における『必要と判断される道路』とは基本的に意味を異にするものではございません」と述べました。

 では、「真に必要な道路」とは何だったのか。

 昨年十二月の合意では、冒頭で「真に必要な道路整備の計画的な推進」の項目を設け、今後十年間の道路の中期計画を策定することや、同計画の事業量を五十九兆円にすることなどをうたっていました。

 つまり、「真に必要な道路」計画の推進とは、“総額先にありき”で、一万四千キロ高速道路建設や六千九百五十キロの地域高規格道路など、大型道路建設を際限なく行うことと同義語だったのです。

 今回の政府・与党決定がこれと基本的に変わりないというのなら、たとえ道路特定財源の「一般財源化」を実現しても、税収の大部分が大型道路建設につぎ込まれ、特定財源と実質的に変わらないということになりかねません。「必要と判断される道路」うんぬんの文言が、与党内の“道路族”の圧力によって盛り込まれたことは公然の秘密となっています。

 日本共産党は、ガソリン税などの暫定税率を維持させる法案や、道路整備財源特例法改定案は、〇九年度からの「一般財源化」と根本的に矛盾すると追及してきました。しかし政府・与党は、衆院での再議決まで使って法案を成立させることに固執し、“総額先にありき”の仕組みである中期計画を存続させることに躍起になっています。

 その最大の理由が、今後も高速道路建設を際限なく続けることにあるのはもはや明らかです。(小泉大介)



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp