2008年4月17日(木)「しんぶん赤旗」
バイオ燃料
英、2.5%使用義務付け
食料高騰など懸念も
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【ロンドン=岡崎衆史】英国で十五日、バイオ燃料使用を運輸燃料供給者に義務付ける法令「再生可能運輸燃料義務」(RTFO)が施行されました。バイオ燃料は、ナタネや小麦、トウモロコシ、サトウキビなど植物から製造するもので、英政府は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)削減による地球温暖化対策とエネルギーの安定確保に必要として使用を促してきました。
同義務の施行により、ガソリンスタンドなどで売られるガソリンやディーゼル燃料には少なくとも2・5%のバイオ燃料を含むことが義務付けられます。この割合は二〇一〇年には、5%に引き上げられます。
ガソリンスタンド経営者など燃料供給者は、バイオ燃料使用によるCO2排出減少量やバイオ燃料の入手先などについて、独立行政機関の「再生可能燃料庁」に報告することが義務付けられます。
英運輸省は同義務の導入で、一〇年までにCO2二百五十万トンを削減できるとしています。
欧州連合(EU)は一〇年までにバイオ燃料の使用の割合を全運輸燃料使用の5・75%に、二〇年には10%にする目標を掲げています。
ただ、バイオ燃料の拡大については、温暖化防止につながらず、原料作物栽培の拡大による森林破壊や食料減産と価格の高騰につながるとの懸念も強まっています。
人道支援団体オックスファム(英国)は十四日、声明を出し、RTFO施行を停止するよう要求。環境団体フレンズ・オブ・アースのケネス・リヒター・バイオ燃料担当も、バイオ燃料の拡大ではなく、「よりよい公共交通」や「燃料消費の少ない車両」が温暖化防止につながるとして、政府に政策の変更を求めました。
ジム・フィッツパトリック英運輸省政務次官は、RTFO施行前日の十四日、こうした「懸念を非常に真剣に受け止める」と表明、「バイオ燃料が森林破壊や食料不足につながらないことを保証する拘束力ある基準を設けたい」と述べました。