2008年4月17日(木)「しんぶん赤旗」
鳥インフルエンザとは? 対策は?
〈問い〉 流行すると多数の死者がでるといわれる鳥インフルエンザとは? 対策はとられているのですか?(三重・一読者)
〈答え〉 現在、世界各国で、鳥インフルエンザのパンデミック(感染症の世界的大流行)に対する対策が急速に取り組まれてきています。それは、インドネシアで鳥インフルエンザによる死者数が100人を超え、さらに被害がインド東部にまで広がる状況の中で、人から人への感染力を鳥インフルエンザウイルスがいつ持ってもおかしくない状況になってきているからです。
ここで問題になっている鳥インフルエンザは、高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)で強毒性のウイルスですが、本来鳥から鳥に感染する一方、感染鳥に濃厚接触した場合、人にも感染しうる人畜共通感染症です。
問題は、このウイルスが、鳥から人への感染を繰り返す中で、変異をし、現在流行している通常のインフルエンザウイルスのように、人から人への感染が容易になるタイプになりうるということです。そして、この変異したウイルスに対して、人類は全く免疫をもっていません。ですから、一度感染が広がれば、爆発的に世界に感染が広がり、なおかつ、人に免疫力がないため、死亡者も通常のインフルエンザの何十倍もの規模で発生することになるのです。この感染症の世界的大流行のことをパンデミックといいます。そして、鳥インフルエンザから人から人へ感染するタイプになったものを新型インフルエンザと位置づけています。
政府は、2005年12月に鳥インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議を設置するとともに、「新型インフルエンザ対策行動計画」(以下「行動計画」)を策定し、07年3月には、「新型インフルエンザに関するガイドライン」を策定しました。さらに、07年10月に行動計画を改訂し、新型インフルエンザ発生時に、内閣総理大臣を本部長とする対策本部を設置することを閣議決定しました。また、重症化防止のための抗インフルエンザウイルス薬は08年3月までに2800万人分を確保し、ワクチンも原液1000万人分を備蓄しているとしています。
これで、鳥インフルエンザ対策は万全といえるのかといえば、万全どころかさまざまな問題が山積しており、今のままで、パンデミックが起こったならば、日本国内は大混乱になることは必至であるといえるでしょう。
多角的な検討が早急に求められています。(小)
〔2008・4・17(木)〕