2008年4月20日(日)「しんぶん赤旗」
後期高齢者医療制度 “導入戦犯”は
自民・公明
06年国会 渦巻く抗議の中
七十五歳以上を差別する後期高齢者医療制度に「だれがこんな制度をつくったのか」と怒りの声があがっています。制度の“導入戦犯”は、自民、公明の与党です。お年寄りの「医療費削減」を目標にした法案をつくりあげ、強行したのです。
七十五歳以上の全員からの保険料徴収、保険料は年金から天引き、保険料滞納者からは保険証を取り上げ、資格証明書を発行、年齢で差別する医療内容…。後期高齢者医療制度で行われるこれらの政策はすべて、二〇〇六年六月に成立した医療改悪法に基づくものです。
反対の声無視
改悪法には二年間の準備期間を設け、〇八年四月から後期高齢者医療制度を実施することを盛り込みました。自民、公明は、自治体首長、医師会関係者らが「国民の健康、医療格差を拡大する計画だ」と反対する声を押し切って強行したのです。
医療改悪法が衆院で審議入りしてわずか一カ月余の〇六年五月十七日の衆院厚生労働委員会。国会前には医療関係者や患者など約三百五十人が座り込み、委員会室にも数十人が傍聴席につめかけていました。そうしたなか与党は「社会保障制度が充実していると過度な期待を国民に抱かせてはならない」(自民・北川知克議員)、「審議も機が熟してきた。ぜひ法案の処理を進めるべきだ」(公明・福島豊議員)と主張し、審議を一方的に打ち切って強行採決しました。
推進役を誇示
参院の審議も十分尽くされませんでした。野党の追及で問題が次々明らかになってきたのに、〇六年六月十三日の参院厚労委で山下英利委員長(自民)が野党議員の厳しい抗議のなか、突然審議の打ち切りを宣言。与党は「必要不可欠な改革だ」(自民・中村博彦議員)と述べ、可決したのです。「後期高齢者医療制度は医療費の適正化のためにつくられた制度。七十五歳以上の医療は“みとり”の医療だ」(自民・西島英利議員、同年五月二十三日の参院厚労委)というのが理由です。医療改悪法が成立した翌日の公明新聞(〇六年六月十五日)は「『国民皆保険』の信頼守る」「公明党の主張を随所に反映」と同党が“推進役”になったことを誇示しました。
自民、公明が医療改悪法に基づいて実施した後期高齢者医療制度は、橋本内閣時代から政府・与党で検討されてきたもの(別表)。弱肉強食の「構造改革」の推進を掲げた小泉内閣以降、「改革試案」「政府・与党大綱」、法案として具体化が進められました。
昨年の参院選後、与党は保険料の一部凍結などを行いましたが、それも制度を「円滑に施行するため」(与党合意)のもの。制度そのものを中止するつもりはありません。まさに、自民、公明こそ後期高齢者医療制度を導入し、推進した張本人です。
差別医療追及し反対 共産党
日本共産党は〇六年の国会で、後期高齢者医療制度が高齢者を差別する医療であることを批判する論戦を展開しました。
衆院厚労委では、高橋千鶴子議員が健保の扶養家族から保険料を徴収する問題や、滞納者への資格証発行問題を徹底的に追及しました。
参院厚労委では、小池晃議員が、制度が「保険料引き上げか、給付の抑制か」を迫る「うば捨て山」制度であることを暴露。診療報酬を七十五歳で差別することの問題や、運営主体となる広域連合の運営が非民主的になる危険性を追及し、法案に反対しました。
法律成立後は、具体化を許さないための論戦や、運動を幅広い団体と協力しながら展開。今年二月には民主党、社民党、国民新党とともに廃止法案を衆院に提出しました。
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