2008年4月20日(日)「しんぶん赤旗」

“亡き母に報告”

介護中の不当配転 勝利の労働者が笑顔

ネスレ


 ネスレ日本の労働者が介護が必要な家族がいるとして配転命令の無効確認を求めた訴訟で、最高裁が十八日にネスレの上告を受理しない決定を下し、原告全面勝訴の一審、二審判決が確定、原告の上月正光さん(52)と青田勝芳さん(58)の笑みがこぼれました。

 二〇〇三年五月、ネスレは兵庫県・姫路工場のギフトボックス職場閉鎖を発表し、労働者に茨城県霞ケ浦工場配転か退職かを迫りました。上月さんは介護が必要な母親を、青田さんは同じく病気の妻を抱え、配転にも退職にも応じられませんでした。ネスレの配転命令に二人はやむなく提訴。毎朝、就労を求めて姫路工場に“出勤”します。五十人に取り囲まれて、「何しに来たんや」などとののしられたこともあります。

 上月さんは、「同じ工場で働いてきたのに、何でそこまで、と悲しかった」。母親は二年前に死亡。「母に『勝ったで。安心してよ』と伝えたい。自分がやってきたことを最高裁に認めてもらい、本当にありがたい」

 青田さんも、「嫁もとても喜んでくれました。配転で泣き寝入りしないよう、道筋をつけられたかなと思う」と語ります。

 今回の決定でネスレは、不当労働行為中止を命じた判決(九五年)、霞ケ浦工場の不当解雇無効の判決(〇六年)に続き、三たび最高裁で断罪されました。しかし、ネスレの各事業所ではいまも不当解雇、どう喝などがまかり通っています。

 ネッスル日本労組の前海明本部書記長は、「ネスレは最高裁決定を真摯(しんし)に受け止め、二人を職場復帰させ一連の争議を全面解決すべきです」と力をこめます。



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