2008年4月22日(火)「しんぶん赤旗」

トヨタ 期間工にもQC(自主活動)

「正社員めざすなら」と強要


 トヨタ自動車(愛知県豊田市)が、業務外とされている小集団活動「QCサークル」に、正規労働者だけでなく期間工も参加させたうえ、サービス残業まで強いていることがわかりました。労働者からは、「強要はしないでほしい」「労働時間として扱うべきだ」との声が上がっています。


 QCサークルは「カイゼン」と呼ばれるトヨタの品質・生産性向上運動の一つ。「出来高の向上」「製品の不良低減」などの目標を決めて提案を出し合い、年四回リポートにまとめて職場の課長に提出し、発表します。

 トヨタ工場で働くAさんは「会合は一回三十分で月四回。これに正社員と期間工が参加します。この二時間は『自主』活動ながら手当がつきます。しかし、テーマごとのリーダーは会合準備やリポートのまとめで月四、五時間は自宅でサービス残業しています」と話します。

 ほかにも「創意くふう」「ヒヤリ提案」「エコ」「交通安全」「HUREAI行事」などの「自主」活動がありますが、手当は出ません。

 トヨタはこれらに期間工が参加するよう求めています。人事部の文書では、期間工に「期待する働き方」として「QC活動等にも積極的に参加する」と明記。現場でも、グループリーダーが「正社員をめざすなら、大いにQCに参加したほうが得だよ」「上もそういうふうに見てるから」と、参加を強要しています。

 年間千人を採用する正社員登用試験の集団面接では、期間工らが口々に「私はQCサークルを頑張りました」などとアピール。登用されなかった期間工が「これでは負ける」と試験後、「テーマリーダーをやらせてほしい」と申し出たケースもあります。

 期間工の賃金は正社員の約三分の一で契約期間も三年未満という不安定雇用。車通勤も認められないなど差別されています。Aさんは「QCに参加させるなら正社員にすべきだし社員同様に働ける期間工は社員にすべきだ。『自主』活動という名の業務には賃金を払うべきです」と話します。

 トヨタ広報部は本紙の取材に、月二時間までのQCサークルに時間外手当をつけていることについて、「チームワークやコミュニケーション、モチベーションの向上につながるので奨励している」といいながら業務とは認めず、二時間の根拠も示していません。


QCは労働時間

“地裁判決に従え”

 トヨタ労働者・内野健一さん=当時(30)=の過労死事件で、QC活動等は労働時間に当たるとの名古屋地裁判決が確定しました。舛添要一厚労相も日本共産党の小池晃参院議員の質問に、判決に従って労働行政を進めると答えています。

 労働者有志は、トヨタ自動車労組(連合加盟)にQCサークル活動を所定労働時間内に収め、サービス残業とならない措置を会社に求めるよう要請しています。

 同高岡工場で働く男性(58)は、「QCサークル等は業務時間内で行うなどトヨタは判決に従って見直すべきです。期間工への参加の強要はやめるべきですし、正社員として採用すべきです」と話しています。



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