2008年4月22日(火)「しんぶん赤旗」
法治の基本踏みにじる
派兵違憲判決への 政府対応を批判
市田氏会見
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日本共産党の市田忠義書記局長は二十一日の記者会見で、イラク派兵差し止め訴訟にたいする名古屋高裁の判決(十七日)について、「過去の判決になかった画期的な内容を含んでいる」と改めて表明し、これにまったく耳を傾けようとしない政府の姿勢を厳しく批判しました。
市田氏は、判決の「画期的内容」について、航空自衛隊の対米軍空輸支援が武力行使を禁じる憲法九条一項に違反しているだけでなく、政府の憲法解釈にもとづくイラク特措法にさえ違反し、逸脱していると断罪したことだと強調しました。
また、イラクの実態が「外国勢力である多国籍軍対イラク国内の武装勢力の国際的な戦闘」であり、首都バグダッドが「戦闘地域」であることを詳細な証拠をあげて断定していると指摘。「『自衛隊の行くところが非戦闘地域だ』という当時の小泉首相の詭弁(きべん)はまったく通用しない」と述べました。
平和的生存権についても、精神的・理念的なものではなく、法的な具体的権利だとしたことは画期的だと強調しました。
画期的判決をもたらした要因について市田氏は、「原告・弁護団の奮闘とともに、草の根での憲法守れの声の高まりが大きな役割を果たした」と指摘しました。
その上で市田氏は、判決について空自の幕僚長が「そんなの関係ねえ」などと、タレントの芸をまねて発言し、高村正彦外相が「大臣を辞めて暇でもできたら読んでみる」などと述べたことについて、「法治国家としての基本を政府みずからが踏みにじるもので、本当に許されない」と糾弾しました。
市田氏は、イラクでは百万人の民間人が殺害されたという調査もあることをあげ、「あれだけの犠牲者を出して泥沼化し、歴史的総括が求められている重要問題だ。ギャグを使って語るような問題ではない」と重ねて批判しました。