2008年4月26日(土)「しんぶん赤旗」
主張
労働者派遣法
抜本改正実現し労働者保護を
「日雇い派遣」など、その日ぐらしの非人間的な働かせ方が社会的批判をあびるなか、現行の労働者派遣法を根本から見なおし、労働者保護法に改正しようという機運が高まっています。
ワーキングプア(働く貧困層)の増加という深刻な事態をつくり出している「日雇い派遣」など不安定雇用の解決には、“雇用は長期常用”の原則に立ち戻ることが必要です。
雇用破壊を生む登録型
最近、労働者派遣法の抜本改正をめざして開かれた集会「さあつくろう派遣法改正案」(十七日、格差是正と派遣法改正を実現する連絡会主催)では、日本共産党、民主党、社民党、国民新党、公明党の与野党五党が勢ぞろいし、それぞれ党の改正案を紹介しました。
日雇い派遣については、全野党が全面禁止、公明党が原則禁止を主張し、「禁止」でほぼ一致しました。日本共産党の小池晃参院議員は、労働者派遣を一九九九年の原則自由化以前の状態に戻すのが合理的で、最も有効だと主張しました。
労働者派遣は常用型を基本とし、登録型派遣を例外として規制することがどうしても必要です。一部に派遣日数や期間を制限するという議論もありますが、それでは問題の解決になりません。
「日雇い派遣」などの不安定雇用が急速に広がったのは、「国際競争力」を強め、いつでも自由に安く使い、解雇できる「使い捨て」の労働力の確保という財界の雇用戦略を背景に、労働者派遣法が導入され、改悪が重ねられてきたからです。そのなかで九九年に派遣対象業種を広げて原則自由化、二〇〇三年には製造業にまで解禁しました。その結果、派遣労働者は三百二十一万人にも急増し、しかもその七割が「日雇い」など登録型派遣です。社会保険も労災保険も雇用保険も、多くは保障されていません。
「日雇い派遣」の禁止は当然ですが、そのためには「原則自由」そのものを見なおす必要があります。日本共産党は、派遣法の導入・改悪に一貫して反対し、派遣法の労働者保護法への抜本改正を主張しています。十日には、これまでの国会論戦も踏まえて、法案の骨子を含む立法提案を発表しました。
その中でも明記しているように、重要なことは、労働者派遣は臨時的・一時的なものに限り、常用雇用の代替にしないことです。法案骨子は、▽派遣は常用型を基本として、登録型を厳しく規制する▽常用代替が目的の派遣は禁止する▽派遣期間(上限一年)を超えた場合や違法行為があった場合は派遣先が直接雇用したものとみなす―などを盛り込んでいます。
これらの措置は、“雇用は長期常用”との本来のあり方にするうえでも重要です。
国民の世論と運動が重要
不安定で、人間を消耗品のように使い捨てる働かせ方を横行させていては、労働者はもとより、日本の経済と社会の未来もありません。
この間、違法な派遣や労働実態を告発してきた勇気ある労働者と労働組合のたたかい、これと結んだ日本共産党の国会内外での運動が力を発揮し、派遣など非正規の雇用から直接雇用へと改めさせるなど、企業と行政を動かしてきました。
国民が声をあげれば、職場と政治を変えることができる状況が生まれています。
派遣法の労働者保護法への抜本改正と正社員化へ向け、世論と運動を高めることが重要です。
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