2008年5月1日(木)「しんぶん赤旗」
主張
ガソリン税値上げ
根拠なき大増税に抗議する
福田内閣と自民党・公明党は、ガソリン税の「暫定税率」を復活させて向こう十年間増税を続ける租税特別措置法改定案を、衆院の「再議決」によって強行成立させました。
福田内閣と与党が世論と国会の議論を無視して衆院で再議決したのは、アメリカの戦争支援で海上自衛隊を再派兵する新テロ特措法に続いて二回目です。参院が六十日以内に議決しないときは「否決したものとみなすことができる」という、「みなし否決」規定を使って衆院で再議決するのは五十六年ぶりです。
歴史的な暴挙を繰り返す福田内閣と自公に、心底からの怒りの声を集中しようではありませんか。
壮大な無駄に費やす
「暫定税率の延長は、今後10年間の道路の中期計画を実現するために必要な財源と位置付けました」と、公明党の高木陽介国土交通部会長が説明しています。(昨年十二月二十九日付公明新聞)
四月の道路問題の政府・与党合意は「必要と判断される道路は着実に整備する」とのべています。「必要と判断される道路」とは五十九兆円に上る道路中期計画に盛り込まれた道路と基本的に同じだと、福田康夫首相が参院本会議で答弁しました。
政府・与党がガソリン税の増税を強行したのは、際限なく高速道路を造り続ける中期計画を何が何でも進めるためであることは明らかです。
冬柴鉄三国交相は、道路特定財源でカラオケセットを買っていたなどの「無駄を一切省く」と強調しています。国民の血税でカラオケセットを買うような、常識はずれの無駄遣いを改めるのは当然です。しかし、バブル期の高速道路計画を復活させ、東京湾や関門海峡にもう一本の横断道路の建設まで予定している中期計画そのものこそ、壮大な無駄遣いにほかなりません。
苦しい生活を直撃するガソリン税の大増税は、この壮大な無駄遣いに費やすために強行されたのであり、国民に我慢を求めるまともな理由のかけらもない理不尽な増税です。
政府・与党は「環境対策のため」「地方財政が大変」と暫定税率の復活を正当化しようとしていますが、これほど身勝手でいいかげんな議論はありません。
自動車が走る高速道路を際限なく造るための増税を「環境対策」と言うのは、中身を正反対に描く偽装です。温暖化対策のために環境税を導入することは重要な課題です。ただし、それはガソリン税をはじめとする既存のエネルギー税制を見直し、大企業に相応の負担を求めるとともに国民の合意を図りながら進める必要があります。
地方財政悪化の責任
「地方財政が大変」になった最大の原因は、政府・与党の二大失政にあります。ひとつは一九九〇年代に政府・与党が「経済対策」として巨額の公共事業の積み増しを地方に強要したことによって、地方が抱えることになった膨大な借金の返済です。もうひとつは、小泉内閣のときに「三位一体の改革」と称して、五兆円を超える地方交付税をばっさり削減したことです。
地方財政を持ち出すなら政府・与党自らの反省が第一で、削りすぎた地方交付税の「復元・増額」という地方の要望に応えることです。
福田内閣と自公によるガソリン税の増税は、まともな根拠も一片の道理もない暴挙です。福田首相が道路特定財源を一般財源にすると言うなら、道路特定財源と暫定税率の十年延長を中止すべきであり、道路中期計画は白紙撤回するよう求めます。
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