2008年5月1日(木)「しんぶん赤旗」
食の異変
バイオ燃料は食料危機招く
国連専門家
【パリ=山田芳進】食料の権利に関する国連特別報告官ジャン・ジクレール氏は四月二十八日、米国と欧州連合(EU)が食料となる穀物をバイオ燃料生産に使うことによって世界的食料価格の爆発的高騰を招くという「犯罪的な道」をたどっていると批判しました。
ジュネーブで記者会見したジクレール氏は、米国が昨年、生産したトウモロコシの三分の一をバイオ燃料に使い、欧州は輸送用燃料の10%をバイオ燃料にしようと計画していると指摘。米欧が追求する燃料政策が、現在の食料危機の原因の一つだと主張し、バイオ燃料生産の五年間凍結を提起しました。
同氏はまた、食料価格高騰の三割分が国際穀物取引市場における投機が原因だと指摘。米国穀物メジャーのカーギル社のように、小麦生産の四分の一を支配する会社が市場に多大な影響を及ぼしていると強調しました。さらに、ヘッジファンドが原材料市場で多大の利益を上げているとして、このような投機を規制するための新たな金融政策の必要性を訴えました。