2008年5月3日(土)「しんぶん赤旗」

主張

憲法記念日

憲法を守り生かしていくとき


 施行から六十一回目の憲法記念日を迎えました。

 ちょうどその前日の二日、イラクでの航空自衛隊の活動を憲法九条に照らして「違憲」と断じた、歴史的な名古屋高裁判決が確定しました。

 ことしの憲法記念日は、憲法が持つ意義と役割がかつてない重みと深みを増しているなかで迎えます。憲法を守り生かす新たなスタートの日にすることが求められます。

世論と運動の広がり

 ここ数年の改憲路線とのせめぎあいを通じて、マスメディアの世論調査などでも、憲法を守り広げることを求める世論が、劇的に広がっています。なかでも改憲を先導してきた「読売」の調査で憲法を「改正しないほうがよい」が「改正するほうがよい」を十五年ぶりに上回り逆転したことは、国民世論の変化を端的に示しています(「読売」四月八日付)。

 「読売」の調査でその理由としてあげられているのは、「世界に誇る平和憲法だから」が53%で最多です。憲法が時代遅れだなどという改憲派の主張が、国民から見放されてきていることを示すものです。

 背景となっているのは国民の運動の広がりです。作家の大江健三郎氏や評論家の加藤周一氏ら九氏が呼びかけた「九条の会」に賛同する地域や職場の会は、七千を超しました。憲法記念日当日には東京で「生かそう憲法 輝け九条」を掲げて二〇〇八年憲法集会が開かれるなど、各地で取り組みが広がっています。

 日本国憲法は、主権在民、平和と民族自決、国民の生存権などを、すぐれた原則としています。貧困と格差の拡大や自衛隊の海外派兵などに反対する国民のたたかいを通じて、憲法のこうした原理・原則をめぐって新たな局面が開かれてきたことも重要な特徴です。

 小泉純一郎政権以来の「構造改革」路線によって拡大した貧困と格差の打開を求める運動は、国民の生存権を認めた憲法二五条の意義を浮き彫りにしています。ワーキングプア(働く貧困層)に象徴される深刻な雇用の破壊とのたたかいは、勤労の権利を認めた憲法二七条の値打ちを改めて示しています。

 とりわけアフガニスタンやイラクでアメリカが一方的にはじめた、泥沼の戦争を支援するための自衛隊の派兵に反対するたたかいや、在日米軍の再編に反対する運動は、戦争を放棄した憲法九条の世界的な意義を改めて明らかにしました。

 こうしたなか、名古屋高裁の判決(四月十七日)は、航空自衛隊のイラク派兵について、現に戦闘が行われる地域での武装兵士の輸送は武力行使と一体化しており、政府の憲法解釈を前提にしても違憲であると明確に認めました。憲法九条の生命力を示した画期的な判決です。政府が「暇があったら読んでみる」(高村正彦外相)「そんなの関係ねえ」(田母神俊雄空幕長)などの乱暴な態度にでているのは、衝撃の大きさを逆に証明してみせるものです。

改憲策動の芽を摘む

 戦後初めて改憲を日程に掲げた安倍晋三前政権は、国民との矛盾を広げ、参院選での自民・公明の歴史的敗北によって実質的に破綻(はたん)しました。その後登場した福田康夫政権は、むき出しの改憲路線は手直しを余儀なくされながらも、なお、改憲手続き法にもとづく改憲策動や海外派兵恒久法の企てを捨ててはいません。

 日本共産党は、憲法を守り生かす世論と運動をいっそう強め、国民の声と力を総結集して改憲の芽を摘み取るために力をつくす決意です。



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