2008年5月5日(月)「しんぶん赤旗」
国民の願いで政治動かす 日本共産党の国会論戦(1)
派遣労働 潮目変える
雇用
通常国会は会期末(六月十五日)まで残り四十日となりました。日本共産党はこれまで、山積する国民的課題で、根本的解決の展望を示すとともに、国民の切実な願いや要求にそって、政治を動かしてきました。その論戦から紹介します。
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「流れが変わってきたと感じます。派遣という働き方はおかしいと、みんな思いはじめている。声を上げれば変えられると、当事者が実感しはじめている」。首都圏青年ユニオンの山田真吾書記次長はいいます。
規制強化へ
労働者のたたかいと日本共産党の論戦で、派遣労働は、規制緩和から規制強化に大きく流れが変わりました。
大反響をよんだ衆院予算委員会(二月八日)での志位和夫委員長の質問。派遣労働者から聞き取った実態と、政府自身の調査データ、キヤノンの内部文書で福田康夫首相を追い詰めました。首相は「日雇い派遣は好ましくない」「日雇い派遣の適正化をはじめとする労働者の派遣制度の見直しに政府として取り組む」「(非正規雇用増は)中長期的に好ましくない」と答えました。
キヤノンの実態調査も約束させ、滋賀労働局職業安定部が二月末に長浜キヤノンに調査に入りました。
二〇〇六年秋、違法派遣を告発されたキヤノンの御手洗冨士夫会長は、法律に従う姿勢を示さず“派遣法を変えろ”と開き直りました。いまやそれは通用しません。
今年三月以降、キヤノン、いすゞ自動車などが、派遣を直接雇用に変えたり、期間工を正社員化する方針を出しました。
志位質問への首相答弁は地方議会でも力を発揮しています。岡山県議会では、日本共産党議員が首相答弁を示して見解をただしたのに対し、知事は「日雇い派遣は好ましくない」と答弁。長浜キャノンのある滋賀県長浜市では自民党議員が市議会で「志位さんの意見に大変、賛同」と質問しました。長野県議会では、共産党県議団の提起した「正規雇用の推進と派遣労働者の処遇に関する意見書」が全会一致で可決されています。(ともに三月)
提案示して
日本共産党は四月十日、派遣法を派遣労働者保護法に抜本改正する労働者派遣法改正案(骨子)を発表しました。小池晃議員が四月二十四日の参院厚労委で、この提案を示して法改正への見解をただしたのに対し、舛添要一厚労相は「常用雇用が基本であるべきだ」と答えました。
山下芳生議員が参院予算委員会(三月十九日)で厚労相から引き出した“官製ワーキングプア”についての答弁も、現場で喜ばれています。
地方自治体で広がる非正規職員が、正規職員と同じ仕事をしながら生活保護基準以下の給料だという実態を示し、追及したものです。厚労相は「(働き方が同じであれば待遇も同じにすべきだという)改正パート労働法の趣旨は公務員にも生かされてしかるべきだ」と答えました。
国土交通省が、旅客機の乗員の一部を外部委託できるような指針を出そうとした問題では、小池議員が「偽装請負になる」と追及(三月二十七日、参院厚労委)。厚労相は、それを認めました。国交省は、その後、事実上、業務委託ができないように指針を改善しました。(西沢亨子)(つづく)
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