2008年5月5日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPress

20〜30代にも人気

無農薬 お茶摘み体験

生きた農業・安全な食料にふれたい


 新茶がおいしい季節です。お茶どころ静岡県の藤枝市で、無農薬の「お茶摘み交流会」(4月26日〜27日)が開かれました。「日本の農業と食料を守る消費者と生産者の結びつきを強めよう」と、全国から約120人が集いました。そのうちの3分の1は20代、30代の青年でした。(平井真帆)


 「大学の仲間、5人で来ました」。男性(23)は、大学のサークル「農業問題研究会」のOBです。テレビ番組『ザ!鉄腕!DASH!!』を見て、「自分で作った野菜を食べてみたい」と思い、同サークルに。

 同サークルは毎年、春と夏に1週間、援農合宿を行っています。今年で28年目。「農作業を通して、大学では学べない生きた農業を体験できる」と、学生たち。卒業後も、農業と食にかかわる仕事に就職する学生が多いといいます。

今年で32年目

 普段は東京で、OA機器のメンテナンスをしているという男性(26)は、「自分が食べているものが、どうやって作られるのか知りたくて」参加しました。「実は、母親ががんなんです。少しでも体にいい食べ物を勉強しようと思って」と打ち明けます。「本当に楽しい。あまり人と接する仕事でないので、いろんな人とゆっくり話ができるのがいい」と男性。

 埼玉県から恋人と参加した女性(29)は、「夢中になってお茶を摘みました。緑をじっとみているといやされる。摘んでいるうちに、柔らかい新芽と、堅い葉の違いがわかるようになり、コツがつかめてきた」と、笑顔で語ります。

 主催したのは、藤枝市農民組合と「無農薬茶の会」。会は76年、4人の生産者が「完全無農薬、有機栽培でお茶を作ろう」と、発足させました。徐々に仲間を増やし現在は25軒の農家に広がりました。発足以来、生産者と消費者の交流を大切にし、交流会などを年に数回、開いています。

 「無農薬なんて、昔は『変わり者』『村八分』扱いだった」。こう話すのは、生産者の大塚直巳さん(55)。栽培技術を研究し、徐々に無農薬でもおいしいお茶が作れるようになると、仲間も増えていきました。

 「本当に無農薬でお茶ができるのか」という問い合わせも少なくありません。微生物やミミズの多い良質な土で育ったお茶の木は、深く根を張り丈夫に育つそう。「土と木が健康だったら虫にもやられない」と生産者たちは胸を張ります。

農業やりたい

 「ここ数年、学生を中心に若い参加者が多くなっています。若い人が友人を誘って来てくれるので、年々増え続けています」。こう語るのは、杵塚歩さん(28)。歩さんは父親であり、会の代表でもある杵塚敏明さん(64)の後を継ぎ、農業をしています。

 「私、農業やりたい」。アメリカに留学してカウンセラーの勉強をしていた大学3年の夏、唐突に両親に告げ、驚かれたといいます。「ものを作ることが好き。自分の思いが『農作物』という形で実るのが農業の魅力。やりがいがあります」

 「お茶の葉って本当にきれいなんですよ。新茶を摘む時期、茶農家はみんな目を輝かせている。地域全体が光っている感じ」

 農業を心から愛する歩さんの最大の心配事は、やはり日本の農業の将来です。「日本の農家には本当に若い人がいない。父が『若い衆』と言えば、50代のことなんです」と歩さん。「若い人が食に触れる機会をたくさんつくりたい。周りの若者を集めてみそ作りをしたり、今年から田んぼを借りて皆で米作りも計画しています」

 会代表の杵塚さんは若い人たちに訴えます。「残念ながら日本の食料自給率は40%を切っており、日本の農業の現状は本当に厳しい。国産の農産物を食べることは農家を守り、日本の風土と文化を守ること。ぜひ、産地がどうなっているかを知り、日本の農産物を食べてください」

 「無農薬茶の会」の連絡先

 静岡県藤枝市滝沢1416の3

 TEL:054(639)0033

 FAX:054(639)0858

 メール:tunagu_kai@yahoo.co.jp


食卓に忍び込む添加物

交流会で特別講演

 交流会では、農民連食品分析センターの八田純人さんによる、「私たちの食卓に忍び込む食品添加物と残留農薬、輸入食品の実態」と題した特別講演が行われました。

 八田さんは、「輸入食品は時間と距離をまたいでやってくる。それを埋める何かが添加されている。事故がおこりやすい」と指摘し、「自分たちで食べるものは自分たちで生産してゆく」ことの大切さを話しました。

 水で5倍に薄めたオレンジジュースに、ガムシロップと添加物を加え「おいしく」する実験では参加者が次々と味見。薄めたジュースをひと口飲み、「まずい…」と顔をしかめた青年が、添加後は、「うん、おいしい!いい香り」と思わず笑顔に。盛り上がりました。


お悩みHunter

ダンサー志望だけどバイトでくたくたに

  ダンサー志望で、バイトしながらレッスンに通っています。しかし、気がつくと毎日バイトでくたくたです。「好きなことをして生きていきたい」と思ってこの道を選んだのに、毎日、嫌なことばかりやっているような気がします。「好きなことを職業に」なんて、無理なのでしょうか。(埼玉県、25歳、女性)

確かな歩みに自信持って

  あなたの相談を読んで私もボクシングをはじめたころを思い出しました。

 私もまさに仕事と練習だけの毎日でしたし、本当に続けていてもいいのかと自問自答を繰り返していました。まわりからも「いつまでそんなことやってるの?」と言われたこともありました。一方で好きなことをやっているという自信にも似た満足感もありました。

 自分で道を選んでそれに向かって行動を起こすことはなかなかできることではありません。しかしあなたはいま確かに夢に向かって進んでいます。そのことは大変素晴らしいことだと思いますし、自信を持ってほしいと思います。

 好きなことをして生きていくことが無理かどうか、正しいかどうかなんて誰にもわからないと思います。もしかしたら好きなことをやることで何かを犠牲にすることがあるかもしれません。しかし、目標はそういう苦労を乗り越える力を与えてくれるはずです。

 あまりに忙しい毎日だと自分の目標を見失ってしまうことがあります。いまはしばらくレッスンを休むなりして小休止をとる時期なのかもしれません。自分と向き合う時間が作れたときにダンサーとして一歩を踏み出したときのことを思い出してみてください。

 あなたならがんばれますよ。応援しています。


第41代日本ウエルター級チャンピオン 小林 秀一さん

 東京工業大学卒。家業の豆腐屋を継ぎながらボクシングでプロデビュー。99年新人王。03年第41代日本ウエルター級チャンピオン。


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