2008年5月5日(月)「しんぶん赤旗」

エクアドル制憲議会

雇用仲介・派遣を禁止

指令可決 労働の権利回復へ


 【メキシコ市=島田峰隆】南米エクアドルの制憲議会は四月三十日、企業が仲介業者など第三者を通じて労働者との雇用契約を結ぶことを禁止する指令を可決しました。七割以上の賛成でした。労働者の貧困化の原因とされる不安定雇用の克服に道を開く動きで、労働組合は歓迎しています。


地図

 指令は「雇用関係は直接(結ぶもの)であり、労働者と雇用主の二者間による」と明記。雇用の仲介や派遣労働、「雇用関係のあらゆる形態の不安定化」を禁止するとしています。同指令によって、休暇や解雇規制などの面で正規雇用との間で差別がある時間給労働を廃止します。

 アコスタ制憲議会議長は、「これにより不安定な働き方が消滅する」と強調。議会ホームページの書き込みには、正規社員と同じ内容の仕事なのにクリスマス休暇がないなど差別を受けてきた時間給労働の人が「指令に全面的に賛成」という意見が寄せられています。

 指令は、法定労働時間働けない人々のためにパート労働をする権利は保障するとしています。

 この指令に対し経営者団体は、「不完全就業や失業が増大する」などとして反発しています。

 これに対し、制憲議会のカベサス議員は地元紙で、「年始に最低賃金を上げた時も(財界は)同様の議論をした」と批判。「指令は労働法や国際労働機関(ILO)が明記する権利を労働者に保障するもので、踏みにじられてきた権利を回復するものだ」と語りました。

 労働組合によると、正規雇用は全労働者の三分の一にすぎません。新自由主義からの脱却を目指すコレア政権は、変革の主要課題の一つに正規雇用の拡大を掲げています。


 エクアドル 面積約二十八万平方キロ(本州と九州を合わせた広さ)。人口約千三百三十四万人(二〇〇七年推定)。先住民と白人の混血が60%、先住民30%、白人、黒人が各5%。主要産業は農業(バナナ、生花、コーヒー、ココア)、石油、水産業(エビ)など。金、銀、天然ガスなどの資源もあります。一人当たり国民総所得(二〇〇六年)は二千八百四十ドル(約二十九万八千円)。



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp