2008年5月6日(火)「しんぶん赤旗」

国民の願いで政治動かす 日本共産党の国会論戦(2)

ごまかしを事実で告発

後期高齢者医療


写真

(写真)後期高齢者医療制度は廃止せよと訴える4野党共同の街頭宣 伝。マイクを持つのは市田書記局長=4月14日、東京・巣鴨

 「私たちが思っていることをよくぞ言ってくれた。涙が出てきた」(奈良県の女性、七十七歳)―。後期高齢者医療制度の実態をとりあげた日本共産党の小池晃議員の質問(三月十四日、参院予算委員会)は大きな反響を呼びました。四月一日の制度実施以後も日本共産党の国会論戦と国民の怒りが一つになり、政府を追いつめています。

 広がる国民の批判を前に政府が持ち出した言い訳の一つは、「保険料負担は軽減される」というものでした。日本共産党は、このごまかしを事実をもって告発してきました。

独自に算出

 小池氏は厚労省自身の試算にもとづき、全国の市区を対象に保険料を独自に算出。その調査結果を示して、「多くの自治体で保険料が高くなっている」と追及すると、政府側も「(小池氏の)数字の通り」と答えました。(四月十七日、参院厚生労働委員会)

 さらに保険料は今後、青天井で上がり続け、団塊世代が後期高齢者になった時に払う保険料は現在の二倍以上にも跳ね上がります。小池氏が、この事実を政府の資料をもとに明らかにすると、舛添要一厚労相も「いろいろな試算を出すなかで、そういう数字が出てきた」と認めざるを得ませんでした。(四月二十二日、参院厚労委)

 衆院では、高橋千鶴子議員が、わずかな年金からも保険料を強制天引きする不当性を追及。政府は、「保険料を払われる方の利便性、効率性がある」などと開き直ってきましたが、年金記録の訂正申請中の人などについては、「(市町村が)個別に判断していく」と天引きを猶予する可能性を示しました。(四月四日、衆院厚労委)

 後期高齢者医療制度の導入は、医療にかかる国の財政負担の削減が目的―。日本共産党は、制度導入の真の狙いも告発し、国民の前に明らかにしています。

 厚労省は、後期高齢者の特性を(1)治療の長期化、複数疾患がある(2)多くの高齢者が認知症(3)いずれ死が避けられない―とひとまとめにし、二〇二五年には、後期高齢者の医療費を五兆円も削る見通しを立てています。

与党からも

 小池氏は、厚労省の担当者が「医療費が際限なく上がっていく痛みを、後期高齢者が自らの感覚で感じとっていただく」などと発言していることを突きつけ、「後期高齢者が医療費削減の狙い撃ちにされている」と批判。与党席からも「これはひどい」と驚きの声が上がりました。(三月十四日、参院予算委)

 「日経」調査(五月二日付)では、後期高齢者医療制度を「評価しない」と答えた人が全体で74%。「評価する」17%を大きく引き離す結果となっています。

 「お金を取って『早く死ね』と迫る。これほどひどい“うば捨て山”制度はない」。年金からの保険料の強制天引きを前にした四月十四日、日本共産党の市田忠義書記局長は東京・巣鴨で開かれた四野党共同の緊急街頭宣伝でこう訴えました。

 野党四党は今国会に、共同で制度の廃止法案を提出しています。問題解決の道は、一日も早い制度の中止・撤回しかない―。このことが今、党派を超えた運動に広がっています。

 (佐藤高志)


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