2008年5月6日(火)「しんぶん赤旗」
食の異変
ASEAN
食料高騰対策を協議
コメ供給不足 「経済に悪影響」
【ハノイ=井上歩】東南アジア諸国連合(ASEAN)が世界的なコメ・食料価格高騰への対応で連携を強めています。
四日までインドネシアのバリ島で開かれたASEAN経済閣僚会議は、コメ価格高騰と食料安全保障を主要議題として協議しました。ASEANの貿易相らは共同声明で「コメの十分・確実な供給と安定した価格は、地域の経済・社会福祉の基礎」だと確認。長期的な面でのコメの供給不足が経済に悪影響を及ぼすことに懸念を表明しました。
貿易相らは、そのうえで幅広い対応で協力していくことで合意。技術移転、研究開発、農地拡大、公的・民間投資の増大などで生産性を高める重要性を指摘しました。
また、公正な貿易をつづけ、秩序ある域内コメ貿易を形成することも確認しました。
ロイター通信によると、インドネシアのマリ・パンゲストゥ貿易相は同日、ASEANが安定した価格の重要性で一致したことは「市場への重要なシグナル」だとのべました。
四日までスペインのマドリードで開かれたASEANプラス日中韓の財務相会議も、「エネルギー及び食料価格の高騰によるインフレ」を金融市場などとともに世界経済の先行きリスクに挙げ、「世界経済は困難な時期に直面している」との認識を示しました。
同会議は、「域内の食料安全保障と食料価格の安定をもたらすための地域の施策で、アジア開発銀行(ADB)と緊密に取り組む」ことで合意しました。ADBは三日、食料危機での短期・中長期対応策をまとめた報告書を発表、食料高騰で困窮する発展途上国を対象に緊急財政支援を実施することを明らかにしています。