2008年5月8日(木)「しんぶん赤旗」
国民の願いで政治動かす 日本共産党の国会論戦(3)
農家支え、食の安全守る
農業
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干ばつや洪水などの異常気象、途上国での人口増や工業化によって食料不足が世界的に深刻化しています。日本共産党は三月に「農業再生プラン」を発表。国会論戦でも「持続可能な農業経営の実現を」と正面から挑み、輸入自由化路線に固執する自民党農政との対比が鮮明になっています。
紙智子参院議員は、「再生プラン」の核心でもある価格保障制度問題をとりあげました。
同制度によって自給率を飛躍的に回復したイギリスの例を示し、欧米では、農業の国内助成に上限をかけているWTO(世界貿易機関)協定の枠内でも手厚い価格保障制度があると強調。「日本でも生産コストをカバーする農産物の価格保障を」と迫りました(三月二十五日、農水委員会)。若林正俊農水相は「(農家を)価格政策で支えるつもりはない」と述べ、農家の願いに背を向けました。
一方、吉井英勝衆院議員は、世界の穀物の期末在庫率がFAO(国連食糧農業機関)の安全在庫水準を下回る危険水域だと警告。「日本独自の自衛策がなければ国民の食の安全は守れない」と、「食料主権」の確立を訴えました(四月十六日、経済産業委員会)。
国会審議では党の政策への共感の声も出されました。衆院農水委員会の参考人質疑で東京農工大学の梶井功名誉教授は、「再生プラン」が新規就農者に月十五万円を三年間支給するとしていることを紹介。「日本には(共産党が提案するような)農業後継者の養成政策は皆無。こういう点が反省されるべきだ」と語りました。
貧弱な検査
この間、中国製冷凍ギョーザ事件や米国産輸入牛肉にBSE(牛海綿状脳症)危険部位が混入するなど、食の安全・安心をゆるがす重大事件が相次ぎました。
背景には、食料の六割以上を輸入に頼りながら、輸入食品の検査率は一割という貧弱な検査体制とともに、アメリカのためなら日本の食卓を平気で危険にさらす政府・与党の体質があります。
党国会議員団は、冷凍ギョーザ事件後ただちに福田康夫首相に対し、検査率の50%以上への引き上げと食品衛生監視員の抜本増員などを申し入れました。
吉井氏が質疑で検査体制の強化を求めたのに対し、岸田文雄国民生活担当相は「食品衛生監視員は増員しなければならない」と答弁。検査機器の整備や、検査技術の研究体制の強化についても約束しました。(三月十九日、衆院内閣委員会)
飼料が高騰
世界的な穀物飼料の高騰で、酪農・畜産農家の負担は前年同期比で一トンあたり七千七百円増にもなります。
党国会議員団は、畜産・酪農経営を守るために新たな支援制度の創設や、飼料価格が長期に高騰する事態を想定していない配合飼料価格安定制度を見直すなどの抜本対策を提起しました。
いま、耕作放棄地・休耕田で飼料米を生産し、飼料自給率を向上させる動きが広がっています。これは、紙氏が他党に先駆け昨年三月以来取り上げてきたものです。
その結果、今年度予算に十アールあたり五万円の補助金が計上され、流通面でも全農(全国農業協同組合連合会)が買い上げを決めました。
(佐久間亮)