2008年5月8日(木)「しんぶん赤旗」

暴動起きるほど食料問題は深刻?


 〈問い〉 最近、世界で、食糧の不足と高騰のため暴動が起きているそうですが、そこまで世界の食料問題は深刻なのですか? (東京・一読者)


 〈答え〉 国連食糧農業機関(FAO)によると、この3月以来、多くの途上国で、「食料が足らない」「高騰して買えない」という事態が広がり、ソマリア、エジプト、カメルーン、コートジボワール、セネガル、ブルキナファソ、エチオピア、マダガスカル、インドネシア、フィリピン、バングラデシュ、ハイチなどの国々では暴動や騒乱が起き、死者が出た国もあります。国連の世界食糧計画(WFP)は、30カ国が食糧危機となり、うち23カ国が「深刻な情勢」と警告を発しているほどです。

 背景には、世界の食料需給の歴史的なひっ迫と価格の急騰があります。農水省の「海外食料需給レポート2007」によれば、世界の穀物在庫率(年間消費量に対する期末在庫量の割合)は14・7%と、この40年間で最低になり、「危険水域」といわれる水準です。そのもとで、小麦の国際価格は、3年間で3・3倍、大豆は2・5倍、トウモロコシは2・5倍に高騰しました。コメの国際価格の指標となるタイの相場は、わずかこの3カ月で2倍になっています。

 世界の食料をめぐる今日の事態は、(1)新興国・途上国の人口増加と経済成長による需要の増大、(2)バイオ燃料ブームによる原料穀物の爆発的な増加、(3)地球温暖化による生産の不安定化などが原因です。これらは、すべて一時的ではなく、構造的なものです。世界はまさに「穀物の争奪戦」という様相であり、それに乗じて投機マネーが穀物市場に流れ込んでいることも、価格高騰に拍車をかけています。

 こうしたなかで、穀物の輸出国があいついで輸出規制に踏みだしています。食料は、いざというときには自国内の供給を最優先する、というのが、どの国でも当たり前の判断なのです。

 ベトナムやインドなどのコメ輸出国が、次々に輸出規制を発動したことで、コメの20%を輸入に頼る世界最大のコメ輸入国・フィリピンでは、深刻なコメ不足に陥り、政情不安が広がり、アロヨ大統領がベトナム首相に「コメをわけてほしい」と懇願する事態となっています。

 このなかで、わが日本は、食料自給率がカロリーベースで39%、穀物の自給率は27%にすぎません。その気になれば食料を自給する力がある日本が、国内で減反しながら77万トンもの米を輸入し続けている―これはまさに世界の飢餓問題の解決に逆行するものです。

 「食料は海外から安く」という安易な考えをやめ、日本農業を再生し、食料自給率の向上を真剣にめざす農政への転換が、今こそ求められています。(村)

 〔2008・5・8(木)〕


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp