2008年5月9日(金)「しんぶん赤旗」

国民の願いで政治動かす 日本共産党の国会論戦(4)

産業界代弁の転換迫る

温暖化


 「このまますすめば、突然の回復不能な結果をもたらす可能性がある」―。世界の科学者の知見を集めたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書が、こう警告する地球温暖化問題。危機をつくりだした根源には、利潤第一主義に走ってきた巨大資本の横暴があります。日本共産党は、欧州に調査団を派遣。産業界を代弁し規制を回避しようとする政府に、その転換を迫る論戦を展開してきました。

中期目標を

 いま日本が迫られているのは、科学者の警告に応え、温室効果ガスの排出量について、二〇二〇年までの中期削減目標を明確にすることです。

 欧州連合(EU)は、20―30%削減という中期削減目標を掲げています。一方で日本は、二五年まで温室効果ガス増加を容認する米国に気兼ねし、中期削減目標を決めていません。

 志位和夫委員長は衆院本会議の代表質問で「正面から掲げるべきだ」と迫りました。(一月二十二日)

 ところが今、政府が打ち出しているのは、「セクター別アプローチ」という手法です。削減すべき総量目標をまず国として決めるのではなく、産業・分野別に実行可能な範囲で目標を決め、それを積み上げて削減目標とするものです。温室効果ガスを大量に排出している産業界に都合がよく、国際的に異論が続出しています。

 「それで洞爺湖サミットをリードできるのか」。市田忠義書記局長の追及に鴨下一郎環境相は「(同アプローチは)十分条件ではない」と、不十分さを認めました。(三月二十七日の参院環境委員会)

協定が必要

 中期削減目標を達成するうえで欠かせないのが、政府と産業界が締結する公的協定です。

 日本は、京都議定書で、一二年までの温室効果ガス6%削減(一九九〇年比)を約束しながら、逆に6・4%(〇六年度の速報値)も増やしているのが実態です。

 日本の二酸化炭素(CO2)排出量の八割は企業・公共部門です。この産業界の削減を、日本経団連の「自主行動計画」まかせにしているのが最大の問題です。

 当初、政府は「公的協定は現時点では考えていない」(福田康夫首相、一月)という態度でした。

 笠井亮衆院議員は「日本の態度は国際的にも注目されている」と強調し、公的協定の締結を重ねて要求。鴨下環境相は「(公的)協定化は必要なら、考慮しなければならない」と答弁せざるを得なくなりました。(二月十三日、予算委員会)

 政府が提出し、今国会で審議中の地球温暖化対策法改定案は、産業界の意向を代弁する姿勢が色濃く反映しています。

 同法案は、温室効果ガスの排出量の報告・公表義務を課す範囲を、コンビニなどフランチャイズにまで広げました。しかし、これまでの事業所ごとの報告・公表を企業ごとへと狭めてしまいました。公的協定など大幅な削減促進対策には踏み込んでいません。

 にもかかわらず、自民、公明、民主、社民、国民新の各党が賛成し、衆院を通過させました(四月二十五日)。日本共産党は同法案に反対し、参院で修正を提案する予定です。(田中一郎)(おわり)


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