2008年5月11日(日)「しんぶん赤旗」

主張

農業再生プラン

農政転換めざす合意の原動力


 日本共産党が「食料自給率の向上を真剣にめざし、安心して農業にはげめる農政への転換を」と題した農業再生プランを発表(三月七日)して、二カ月たちました。

 この間、秋田県大仙(だいせん)市と島根県安来(やすぎ)市で開いた日本共産党中央委員会主催のシンポジウム「日本農業の再生を考える」は、いずれも会場からあふれるほどの参加で、農業再生にむけて活発に議論されました。

情勢激変が再生を切実に

 シンポジウムでは農業関係者から、農業生産や地域・集落にたいする思い、高齢化と後継者難、地域農業崩壊の深刻な実態、とくに自民党農政の輸入依存政策がもたらした中小農家や地域の切り捨てと生産者価格低落への怒り、価格保障政策への切実な願いなどが語られました。

 消費者からは、輸入依存がいかに深刻な事態をもたらすかの認識とともに、安全な食料の供給や環境の維持にたいする国内農業への期待、農業者との連帯を強めることの必要性などが語られました。

 この短い間にも、食料をめぐる内外情勢は激変しています。食料品が連日のように値上げされ、国民の暮らしを脅かしています。穀物など農産物の輸入価格が高騰しているからです。主な要因は、気象変動による収量の不安定化、発展途上国での人口増大とバイオ燃料ブームによる需要急増、投機資金の流入による価格高騰などで、国際機関も長期化せざるを得ないとみています。

 世界の貧しい人々、発展途上国の多くで食料が十分手に入らなくなり、飢餓人口が増大し、食料暴動まで起きています。近く開かれる北海道・洞爺湖での主要国首脳会議(サミット)でも食料問題が重要課題のひとつになろうとしています。

 食料は安い外国から買えばよいと国内農業をないがしろにしてきた、政府・財界の言い分が通らなくなっていることは明らかです。にもかかわらず自公政府は、輸入自由化、市場まかせを前提に、中小農家や小集落を農政の対象から排除する政治を変えようとしません。

 日本共産党の農業再生プランは、自民党農政を抜本的に転換し、自給率の向上に真剣に努力すること、そのために持続可能な農業経営の実現にむけて価格保障・所得補償制度を抜本的に充実させ、「食料主権」の立場にたった貿易ルールを確立すること、農業者と消費者の共同で「食の安全」と地域農業の再生をめざすことを提起しました。

 シンポジウムや懇談会など農業再生プラン普及の取り組みは、中央委員会の主催だけでなく、都道府県・市町村段階でも旺盛に展開されています。どこでも食料・農業問題にたいする関心の深さとともに、日本の農業・農村を何とか元気にしたい、安全な国産食料を増やしたいと切実に語り合われ、日本共産党の提案と幅広い要求が響きあっています。

国民的な討論と共同を

 食料・農業をめぐる内外情勢の変化や国民的討論の広がりは、日本共産党の農業再生プランの意義をいっそう鮮明にするとともに、国民合意の可能性を広げています。

 日本農業と農村に活力を取り戻し、消費者・国民の豊かな食生活と健康を保障するためにも、食料価格の高騰に苦しむ発展途上国の人々との真の連帯を図るためにも、食料自給率の向上と日本農業の再生は急務です。国民各層との対話と、一致する要求にもとづく共同行動をひろげ、自民党政治を包囲する世論を、大きく広げ高めていくことが求められます。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp