2008年5月20日(火)「しんぶん赤旗」

基礎年金全額消費税

勤労者世帯を直撃

政府試算 企業負担はゼロ


 政府は十九日、消費税増税を財源にした基礎年金の全額税方式を導入した場合、サラリーマン世帯は負担増になる試算を公表しました。試算は、「社会保障目的税」の名による消費税増税議論を加速させる狙いで、同日の社会保障国民会議の雇用・年金分科会で示されました。

 試算によれば、過去の保険料の納付実績に関係なく六十五歳以上に月額六万六千円を一律給付する案(消費税5%引き上げ案)では、月収三十万円程度のサラリーマン世帯で、保険料負担はなくなるものの、消費税増税分が上回り、差し引き五千―七千円の負担増。六十万円程度の世帯では六千―八千円増えます。低所得層の負担が相対的に大きくなりました。

 全額税方式では、企業の保険料負担がなくなります。その分が、庶民の家計負担増として転嫁される実態が浮かび上がりました。

 自営業者では、月収が百万円超の所得層を除き、現在と比べて実質負担は減少。ただ、保険料を一部または全額免除される低所得層では、消費税の負担増の方が保険料の負担減より大きくなります。

グラフ

経団連会長 「消費税10%以上に」

 日本経団連の御手洗冨士夫会長は十九日の記者会見で、消費税を基礎年金や医療、介護などの財源に充てる社会保障目的税化した場合、「例えば、二○二○年とか二五年になれば、10%で収まるとは思っていない」と述べ、将来は税率が10%を大きく上回るとの見通しを示しました。

 御手洗会長はこれまで「一五年度までに消費税を10%に引き上げるべきだ」との考えを表明してきましたが、10%を超える水準に言及したのは初めて。

 経団連は十四日、基礎年金を全額税方式とし、財源に消費税を充てるとともに、医療、介護保険制度への公費投入の拡大を盛り込んだ社会保障制度「改革」の提言を公表しました。御手洗会長は社会保障費が毎年一兆円拡大している現状も踏まえ、医療、介護制度も消費税を財源にすれば、「10%ではやがて済まなくなる」と強調しました。

 財界は、社会保障財源に消費税増税を充てることで、社会保障保険料の企業負担を軽くする狙いがあります。



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