2008年5月21日(水)「しんぶん赤旗」
おかしいぞ年金財源論議
消費税ばかり
空前の利益 大企業に負担求めず
政府が十九日公表した、基礎年金財源に全額税方式を導入した場合の試算は、財源として消費税しか想定していません。空前の利益を更新し続ける大企業に税負担を求めるという発想はまったく見られません。
財界や商業メディア、与党議員・グループ、民主党が相次いで年金制度「改革」案を提示しています。基礎年金について、全額税方式から税と保険料の組み合わせまで、いろいろです。しかし、共通しているのは、税については、財源として消費税を想定していることです。政府の試案は、こうした「改革案」を「念頭に置いた」ものです。
企業は負担減■
同試算は、消費税を財源とする全額税方式に移行することで、企業の保険料負担が廃止され、企業負担が軽減されることを明示しました。
全額消費税方式では、労働者と企業が折半で負担している保険料が廃止されることで、企業の負担が大幅に軽減されます。一方、サラリーマンは保険料は廃止されるものの、消費税増税によっていっそうの負担増になります。
例えば、政府の試算でも、月収四十九万円の勤労世帯では、家計負担増は月七千円で、企業の軽減は月七千円になります。
消費税による全額税方式は、大企業の負担を庶民に肩がわりさせる逆立ち税制そのものです。
新たな税収は■
東証一部上場の多くの大企業は、二〇〇八年三月期決算でも、史上空前の利益を更新しています。
自民党政治が続けてきた大企業優遇税制を見直せば、年金財源のための新たな税収を確保することができます。
企業の法人税率は現在30%。これをバブル期(九〇年度)の37・5%に戻すだけでも、地方税分も含め、資本金十億円以上の大企業だけで約四兆円の増収が見込まれます。さらに、研究開発減税などを廃止・縮小すれば、一兆―二兆円の税収を確保することができます。
軍事費は維持■
政府は、庶民に負担増の痛みを強いる一方、毎年五兆円規模の軍事費を維持してきました。
米軍基地の再編のために、日本側負担だけで三兆円もの税金が投入されようとしています。社会保障関係費の伸び抑制額(二千二百億円)に相当する二千八十三億円(〇八年度予算)が在日米軍への「思いやり予算」として注ぎ込まれています。
ムダな高速道路づくりなどの浪費をなくすとともに、行き過ぎた大企業・大資産家減税と軍事費という二つの聖域にメスを入れることこそ求められています。
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