2008年5月23日(金)「しんぶん赤旗」

アイヌ民族の人権守れ

北海道ウタリ協会が集会

紙議員あいさつ


 アイヌを先住民族と認め、その生活と権利を向上させようと北海道ウタリ協会(加藤忠理事長)は二十二日、東京・千代田区で集会を開き、北海道内や全国各地から二百五十人が参加しました。

 加藤理事長は、昨年の国連総会で採択された「先住民族の権利に関する国連宣言」にもとづき「アイヌ民族の生活と生命、人権を守ることが日本政府に課せられた課題だ」と強調しました。

 衆参両院でアイヌ民族を先住民族であると宣言し、アイヌの民族としての権利を審議する有識者懇談会を設置しようとしている超党派の「議員の会」から、各党の国会議員があいさつ。日本共産党の紙智子参院議員は、「世界の流れが大きく動いているときに、アイヌ民族の人権が守られることは、日本社会そのものが人権のゆきとどいた国として前進することになります。みなさんと力を合わせ全力をあげたい」と訴えました。

 北海道が行った調査でも、アイヌの人たちの生活保護率は全道平均の一・五倍、大学進学率は半分以下と過酷な実態があります。札幌市から参加した女性(70)は「私たちは差別を受け、教育の機会も奪われ、いい就職先もなく、年金もかけられなかった人が多い。そういう歴史をふまえて温かい施策を実現してほしい」と語っていました。

 集会参加者は、ルウンペ(着物)、マタンプシ(鉢巻き)、サパウンペ(儀式用かぶりもの)などを身につけデモ行進し、市民にアピールしました。

 国会では衆参両院議長あての要請書を提出し、衆院議員面会所前では日本共産党の赤嶺政賢、高橋千鶴子両議員、参院議員面会所前では紙、大門実紀史、山下芳生各議員がデモを激励し、要請書を受け取りました。

 先住民族の権利を幅広く認め、その社会的・経済的地位の向上を図る「先住民族の権利に関する国連宣言」は昨年九月の国連総会で、圧倒的多数で採択され、日本政府も賛成しました。しかし、政府は国内では、アイヌ民族を「宣言」のいう先住民族と認定せず、十分な施策をとっていません。このため政府にたいして、先住民族の問題を抜本的に議論し、新たな対策にむけた対応を求める運動がひろがり、国会の超党派の「議員の会」は、今国会での国会決議の実現を求めています。


先住民族の施策 官房長官に要望

 北海道ウタリ協会の加藤忠理事長らは二十二日、官邸を訪ね町村信孝官房長官に、アイヌ民族を国連先住民族宣言の当該先住民族と認め有識者懇談会を官邸に設置するよう求める要望書を手渡しました。

 要請項目は、(1)アイヌ民族の実態把握と効果的な総合的施策の推進(2)アイヌ文化振興法で取り残された課題の推進(3)アイヌ民族の先住民族としての人権尊重と国情にあった施策の推進など。町村長官は「一生懸命お考えを受け止めたい」と答えました。

 要請にはアイヌ民族の権利確立を考える議員の会(代表・今津寛衆院議員)の世話人六人が同行。日本共産党の紙智子参院議員が出席しました。


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