2008年5月26日(月)「しんぶん赤旗」
米軍、子ども513人拘束
司法手続きもなしに
国際人権団体が公表 イラク
【ワシントン=鎌塚由美】イラクに駐留する米軍が「治安への脅威」を理由に五百人を超える子どもを裁判などの司法的な手続きなしに拘束していることが明らかになりました。国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」(HRW、本部ニューヨーク)が、スイスのジュネーブで二十二日行われた国連・子どもの権利委員会での米国報告審査を前に公表しました。
HRWは、子どもたちに対し司法手続きを保障し、弁護士との面会を許可すべきだと要求しました。HRWは、イラクの米軍当局は今月十二日現在、十八歳未満の子ども五百十三人を「治安への差し迫った脅威」を理由に拘束していると指摘。二〇〇三年のイラク侵攻以来、米軍が拘束した子どもは二千四百人にのぼり、そのなかには十歳の子どもも含まれていたと指摘しています。〇七年以降、子どもの拘束は急増し、〇六年の一カ月平均二十五人から、平均百人(〇七年)に跳ね上がりました。
子どもたちの平均拘束期間は百三十日を超え、なかには一年以上司法手続きなしに拘束されている子どももいるといいます。子どもの家族との面会も「非常に制限された」状況だと指摘しました。
米国は、子どもの権利条約を批准してませんが、〇二年に「武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書」を批准しました。ロイター通信によると、米軍当局者はジュネーブで記者団に対し、「選択議定書」は「十八歳未満の個人の拘束を妨げたものではない」と弁明しています。
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