2008年6月1日(日)「しんぶん赤旗」
憲法審査会始動に執念
改憲派 “規程議決 今国会で”
通常国会の会期末が六月十五日に迫る中、改憲派は改憲原案の審査権限を持つとされる憲法審査会を始動させるため、委員数や運営方法などを定めた規程案の議決を狙い執念を燃やしています。自民党憲法審議会幹部は「国民投票法の補充論点や改憲原案づくりの議論は次期国会以降に先送りしたとしても、審査会規程の議決だけはなんとしても今国会中に成し遂げたい」といいます。
憲法審査会は、〇七年に強行された改憲手続き法で衆参両院に設置が決められました。しかし、直後の参院選で二〇一〇年までの改憲発議を掲げた自民党が惨敗し、安倍内閣が退陣したことから、審査会規程もつくられず開かれないままになっています。
国民は論議望まず
こうした中、衆院の笹川尭議運委員長(自民党)と参院の西岡武夫議運委員長(民主党)は五月二十日、国会の同意人事案件を政府から受け取る場である両院合同代表者会議で、審査会の規程の審議・議決を進めるよう働きかけることで合意しました。背景には自民党憲法審議会(会長・中山太郎前衆院憲法調査特別委員長)や、新憲法制定議員同盟(会長・中曽根康弘元首相)の強い働きかけがあります。
日本共産党は、国会同意人事のために設けられた代表者会議を利用するのは筋違いであると批判。国民は改憲論議など望んでおらず、規程案の議決は必要ないと主張しました。
与党期待の背景に
その後、笹川氏は「代表者会議で審査会の規程の問題を持ち出すのはやめた」と表明しました。しかし、自民党憲法審議会の幹部は二十九日、「まだこの動きが立ち消えとなったとは認識していない。水面下の交渉中であり、民主党に対しボールは投げてある。相当のところまで届いているはずで民主党の判断次第だ」とのべます。
自民党が規程議決に“期待”をつなぐ背景には民主党が道路特定財源問題での「対決」局面を過ぎた後、宇宙基本法や国家公務員制度改革基本法、少年法改定案などで与党と妥協を重ね、徹底審議の要請を無視して次々と協力している流れがあります。
新憲法制定議員同盟は、会期末の六月十二日に定例会の開催を計画。読売新聞と産経新聞の両政治部長を招いて改憲動向について論議するとともに、憲法審査会規程の早期議決をアピールします。今後、月一回のペースで「勉強会」を続けるとしています。
自民党憲法審議会も会期末まで会合を重ね、「改憲論議を絶やさぬ」(関係者)ようにする態勢です。
(中祖寅一)
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