2008年6月3日(火)「しんぶん赤旗」
民営化賛否で採用
東京高裁 JR東海会長が証言
国鉄の分割民営化に反対したとして国労や全動労の組合員ら千四十七人が採用差別を受けたとし損害賠償を求めている事件で、採用の実質的責任者だった葛西敬之JR東海会長に対する証人尋問が二日、東京高裁で行われました。採用差別にかかわる人物が証人採用されたのは初めて。
葛西氏は当時の国鉄職員局次長として、JRへの採用名簿の作成にかかわりました。分割民営化に賛成した動労、鉄労などの組合員がほぼ全員採用されたのに対し、反対した国労や全動労などの組合員は反対闘争での処分歴などを理由に多くが採用されませんでした。
葛西氏は、分割民営化に賛成した組合員を優先して採用したのではないかとの質問に、「その点はプラスにはなった」とのべ、分割民営化への賛否で採用差別をしたことを事実上、認めました。
また、自らの著書で、分割民営化に伴う施策を労組の合意がなくても強行する考えだったとのべていることについては、「労組の合意がなくてもやっていく方針をとった」とのべ、労組の合意がなくても強行する考えだったことを認めました。
JR九州への採用で分割民営化に賛成した動労と鉄労はほぼ100%採用されたのに国労がわずか40%だったことについて、裁判官が「職員の実績や経験という基準に照らしてかたや百、かたや四十という結果になったのか」と質問。葛西氏は、「分割民営化の国の方針に反対するのが国労には多かった」とのべ、分割民営化に反対したために採用差別を受けたことを事実上認めました。
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