2008年6月3日(火)「しんぶん赤旗」
後期高齢者医療制度
勝手に天引きするな
北海道 639人、不服審査請求
「勝手に保険料を年金から天引きするのは許せない」「高齢者を差別する医療制度への強制加入は憲法違反だ」と七十五歳以上に差別医療と新たな保険料を押しつける後期高齢者医療制度を廃止せよと二日、北海道で六百三十九人の道民が不服申し立てをしました。
「後期高齢者医療制度に怒る道民の会」(渡部務代表)がよびかけた集団の審査請求。差別医療に怒る高齢者ら七十人が札幌市の道庁赤レンガ庁舎前に集合し、プラカードや横断幕を手に、道の後期高齢者医療審査会に請求書を提出しました。
札幌市白石区の石村秋男さん(83)ら六人の代表が六百三十九人分の審査請求書を手渡し、既提出分と合わせ、申し立ては六百五十九人に。
「高齢者はいきなり年を取ったわけじゃありません」と力を込めるのは小樽市からやってきた女性(85)。「私は戦後、樺太(サハリン)から引き揚げ、船から荷物の積み下ろし作業をする人足をして子ども二人を育て、税金もきちんと払ってきました。いまさら『病気になったら死ね』という制度はひどすぎます」
石村さんらは「戦争ですべてを失い、食べる物も食べないで必死で働いてきました。経済大国になった日本が、貢献してきた高齢者を見捨てる医療制度は廃止してほしい」「日本の政府はなんて恐ろしい制度を考えたのだろう、と老人クラブで話し合っている。力を合わせて廃止させたい」とこもごも訴えました。
東京では238人
東京高齢期運動連絡会や年金者組合東京都本部などは二日、後期高齢者医療制度の保険料徴収や、一方的な同制度への加入の取り消しなどを求め、東京都後期高齢者医療審査会に不服審査請求を行いました。
都庁には代理人を含め約百人を超える参加者が集まり、審査請求をした人は二百三十八人に上りました。参加者は、「制度に加入した覚えはない」「一方的な年金からの保険料天引きに納得がいかない」などと書かれた用紙を次々と提出しました。
審査請求後には記者会見。戦中、戦後の苦労を振り返った勝又嘉子さん(87)=中野区=は「言いたいことがたくさんあって書ききれなかった」といいます。八十歳のとき健康診断でがんが見つかり手術しました。「おかげで長生きできました。でも今度は、七十五歳以上の健診が義務ではなくなりました。年寄りを大事にしない制度は、若い人の未来も保障しないということ。こんな制度はやめさせたい」と力を込めました。
年金者組合武蔵野三鷹支部の遊佐信彦支部長(79)は「“前期高齢者”の妻と合わせると保険料があがった。多くのお年寄りが負担増になっている。最近、大正生まれの方が『何もできないが審査請求ならできる』といって年金者組合に入った。廃止まで頑張る」と語りました。
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