2008年6月5日(木)「しんぶん赤旗」

学校耐震化促進法案

5党が共同提案へ


 学校施設の耐震化を促進するための法案が、日本共産党はじめ五会派の共同で国会に緊急提出されることが決まりました。四日の衆院文部科学委員会理事会で、共産、自民、公明、民主、社民各党が合意しました。六日に衆院を通過し、来週の参院での審議を経て、今国会で成立する見通しです。

 法案は、(1)市町村が行う耐震補強工事への国庫補助率を現行の二分の一から三分の二に、改築への補助率を現行の三分の一から二分の一に引き上げる(2)市町村に耐震診断実施と結果公表を義務付ける(3)私立小中学校についても配慮する―などが柱です。補助率引き上げの対象は、当面、震度6強以上の地震で倒壊の危険性が高いとされる構造耐震指標(Is値)0・3未満の学校校舎や体育館など、約一万棟です。

 文部科学省の調査では、約十三万棟ある小中学校施設のうち、耐震性がないのに未改修の建物が四万五千四十一棟(34・8%)、耐震診断も実施されていない建物が八千五百九十五棟(6・6%)残されています(昨年四月一日現在)。

 学校耐震化には耐震診断だけで一校数百万円、耐震補強工事には一校一億円前後と多額の費用がかかり、財政の厳しい自治体が二の足を踏む状況が続いてきました。

 国庫補助率の引き上げは、こうした事態の改善につながるものです。日本共産党は政府に予算の抜本増を求め、すべての学校施設の耐震化が早急に進むよう、取り組みを強める方針です。

解説

共産党、国・地方で一貫して要求

 五月に発生した中国・四川大地震では多くの学校校舎が倒壊し、子どもたちが犠牲になりました。日本でも決して人ごとではありません。〇四年、〇七年に大地震に見舞われた新潟県でも、校舎に被害が出ました。

 日本共産党は、新日本婦人の会など草の根の運動とも結んで、学校や福祉施設の耐震化問題を国の責任で進めるよう、国会でも地方議会でも一貫して求めてきました。

 〇二年十一月には、国会で富樫練三参院議員、畑野君枝参院議員(いずれも当時)が質問。国が計上している予算規模では、すべての学校施設の耐震化を終えるのに七十五年かかることを告発し、予算増を求めました。

 〇三年三月に出した緊急提案「ゆきとどいた教育の条件をととのえるために」では、(1)耐震診断は国庫負担などで早急に実施する(2)「学校耐震化年次計画」を自治体の優先課題として策定する(3)耐震化工事への国庫補助率をアップする―ことを提起。全国で実態調査も進めました。

 〇六年三月には、石井郁子衆院議員が、学校施設整備費が一九八〇年度の五千七百十三億円から〇六年度には千三十九億円へと五分の一に下がっていることを追及。仁比聡平参院議員は、公立小中学校の耐震化の目標設定を政府に迫り、耐震診断への補助が耐震工事を伴う場合に限られている点の改善を求めました。

 ほかに、石井氏や井上哲士参院議員は、幼稚園や保育所の耐震化問題も取り上げてきました。石井氏はことし二月の質問で、耐震診断の実施率が公立小中学校89・4%に対して保育園は25・9%だとし、緊急の対策を迫りました。(坂井 希)


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