2008年6月6日(金)「しんぶん赤旗」
少年法改定
国民的合意はない
仁比氏、徹底審議求める
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参院法務委員会は五日、原則非公開の少年審判の傍聴を、殺人など重大犯罪に限り被害者に認めることを柱とした少年法改定案について実質審議入りしました。修正を共同提案した与党と民主党は来週はじめの成立を狙っています。
日本共産党の仁比聡平議員は、改定案には修正案を含め強い懸念があがっており、国民的合意は得られていないと指摘。同委員会での徹底審議を求めるとともに、裁判官が被害者の傍聴を許可する判断基準について政府の見解をただしました。
仁比氏は、被害者の傍聴について、加害少年に事件の重大性を認識させるなど、心理に影響を与えることが趣旨かのような議論があると質問。法務省の大野恒太郎刑事局長は、法案の趣旨は被害者の心情に応えたもので、「少年の供述に不当な影響が与えられることは少年審判の目的に反する」と述べました。
仁比氏は、裁判官とのやり取りのなかで内省を深めるなど、更生のうえで少年審判が果たしている役割を強調。二〇〇〇年の少年法改定の際、当時の最高裁家庭局長が、被害者の傍聴はプライバシーなどにかかわる少年や保護者の発言をためらわせ、適切な処遇を困難にすると指摘していることを紹介し、「この認識はいまでも変わらないか」とただしました。
最高裁の二本松利忠家庭局長は、「被害者が審判を傍聴した場合に起き得る問題も含めて検討し、審判の機能が損なわれない場合に傍聴を認めていく」と答弁しました。