2008年6月6日(金)「しんぶん赤旗」
参院環境委
温暖化対策法改定案
市田議員の反対討論
五日の参院環境委員会で日本共産党の市田忠義議員が行った温暖化対策法改定案に対する反対討論は次の通りです。
地球温暖化対策推進法の一部を改定する法律案に反対する第一の理由は、今年四月から京都議定書第一約束期間がはじまり、日本が6%削減目標を必ず達成しなければならない正念場となったにもかかわらず、その確実な目標達成にふさわしい抜本的な改定案になっていないことです。
わが党は三月に、欧州温暖化対策調査団を派遣しましたが、EU(欧州連合)各国ではIPCC(気候変動に関する政府間パネル)やスターン報告に基づいて、切迫感をもって気候変動対策にあたり、先進国としての責任を着実に果たしています。これに対して、わが国の温暖化対策の中核である「京都議定書目標達成計画」は、日本経団連の「自主行動計画」にたより、「京都メカニズム」を大規模に活用するなど、産業界や国外に依存したものです。しかも、産業界の反対で、削減に有効な排出量取引制度や環境税の導入を先送りしています。
総排出量の八割を占める産業部門の自主的な取り組みでは限界にきており、この延長線上での取り組みでは、6%削減約束の達成は困難です。また、先進国日本が責任を果たすべき中期目標の水準を到底示せないものであり、国際的要請にもまったく応えられないものです。
反対する第二の理由は、本改定案が産業界での実排出量の削減をあいまいにするなど、産業界に配慮した改定内容となっていることです。
本改定案では、「温室効果ガス算定・報告・公表制度」に基づく報告制度で、京都メカニズムクレジットを「評価」した排出量の公表を行いますが、これは電力業界はじめ産業部門の強い要望で盛り込まれたもので、排出実態を少なく見せることになります。また、事業所単位から企業単位の報告にすることは、事業所の排出実態を覆い隠すことになり、事業所単位にキャップをかける排出量取引制度の導入に障害となります。さらに、排出抑制指針の目標値は、排出量が増加している産業界が採用している排出原単位とするもので、排出総量を目標値にする流れに逆行するなど、実効ある削減をあいまいにするものです。
以上、わが国の排出増加の状況を直視するならば、十年前に制定された現行の排出抑制の枠組みでは国際的な削減約束を達成できないことは明らかです。京都議定書の削減目標を確実に達成するためには公的削減協定の締結、排出量取引制度や環境税、再生可能エネルギー買い取り制度の導入など、現行の枠組みの抜本的な転換をはかることが不可欠となっています。よって、日本共産党は、本改定案に反対することを表明して討論とします。
温対法改定案に対する
市田議員の修正案趣旨説明
(要旨)
五日の参院環境委員会で市田忠義議員が行った温暖化対策法改定案に対する修正案の趣旨説明(要旨)は次の通りです。
修正の第一は、法の総則に、「工業化が開始した年代から二度以内に抑えるため、国際社会において我が国の占める地位を踏まえ、目標を達成する」ことを明記し、「二○二○年までに30%、二○五○年までに80%」という中長期目標の達成を規定しました。
第二は、基本方針に、政府は「事業者団体との間で、温室効果ガスの排出削減を定めた協定を締結する」ことを明記し、「温室効果ガスの排出枠を割り当てるとともにその取引を認める国内排出量取引制度を設けること」、「温室効果ガスの排出の量に応じ税を賦課する制度を設けること。削減協定を締結する事業者団体に対して税を軽減すること」を盛り込みました。
第三は、基本方針に、「再生可能エネルギーの供給量を二○二○年までに20%」とする目標を明記し、「一定の価格で電気事業者に買い取らせる制度を設けること」を規定しました。これによって、化石燃料依存のエネルギーから再生可能エネルギーの大幅な供給に転換することで、エネルギー自給率を引き上げ、地域経済と雇用を拡大するものです。
第四は、削減協定および国内排出量取引制度の適正な実施を担保するための第三者機関を設置することを盛り込むことによって、透明で、効果的な削減ができるようにするものです。
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