2008年6月7日(土)「しんぶん赤旗」
地域力再生機構法案とは?
〈問い〉衆議院で審議入りした「地域力再生機構法案」とは?(大阪・一読者)
〈答え〉破綻(はたん)した第三セクターや地方の中堅企業の債権を買い取り、再生事業を行う機構設置のための法案です。破綻した大企業を税金を担保に救済しようとした「産業再生機構」がモデルです。存続期間は5年、国と地方、金融機関が100億円ずつ出資、債権買い取り資金借り入れに1兆6000億円の政府保証を予定しています。
夕張観光開発公社や大阪ワールドトレードセンタービルなど官民が出資する第三セクターの破綻がつづいています。約40%・3000法人が赤字です。うち430法人は債務超過で、債務総額は13兆円に達します。
破綻が集中するスキー場やホテルなど観光分野の第三セクターはリゾート法をはじめとする国の民間活力導入政策と密接に関連しており、国の責任も問われます。
地域力再生を掲げる機構の対象は、再生によってもうけが期待できる第三セクターだけで地方の中堅企業とあわせて100社ほどです。この程度の規模ではとても「地域力再生」とはいかないだけでなく、機構自体には、再生事業ともうけが果たして両立できるのかという難問があります。
すでに、再生事業を行う民間ファンドが多数活動していますが、機構が手がけるのは、こうした民間ファンドが躊躇(ちゅうちょ)する案件=再生失敗による損失リスクが高い案件ばかりです。
機構が損失を出せば国民の税金が投入されることになります。
税金によって穴埋めされる損失は、破綻した第三セクターにつぎ込んだ金融機関が責任を負うべきものです。機構は、金融機関の損失を税金によって肩代わりする仕組みともいえます。
第三セクターの再生による地域経済の立て直しのためには、国や自治体、金融機関の責任を明らかにしたうえで、全体の再生プランを明らかにすることが不可欠です。(山)〔2008・6・7(土)〕