2008年6月12日(木)「しんぶん赤旗」
主張
福田首相問責決議
論戦と世論で追い詰めよう
福田康夫首相にたいする問責決議案を民主党などが参院に提出し、日本共産党も賛成して、野党の賛成多数で可決されました。首相の問責決議が可決されたのは、現憲法下で初めてです。
福田首相をはじめ政府は、問責決議を重く受けとめるべきです。日本共産党は、国会論戦と国民の運動で自公政権を追い詰めるために、引き続き全力をあげます。
問責に値するのは明白
昨年九月の政権発足以来九カ月近くにわたる福田内閣が、内政でも外交でも国会の問責決議に値することは議論の余地がありません。
安倍晋三前内閣が昨年夏の参院選挙で大敗北し政権を投げ出したあと政権をスタートさせたにもかかわらず、福田内閣はアメリカ・財界言いなりの政治の基本路線は転換せず、自衛隊の海外派兵や必要のない道路計画への固執、七十五歳以上の高齢者に差別を押し付ける後期高齢者医療制度の強行など、国民の意思に反した悪政を続けてきました。
政権発足以来下がり続けてきた各マスメディアの内閣支持率はいまや30%を割り込んで20%台に低迷しており、この内閣が国民の支持を失っていることは明白です。
福田首相が問責決議に値することは、どこから見ても明らかです。しかしそのことと、どういう状況の下で問責決議案を提出するかは別問題です。日本共産党が十日の市田忠義書記局長の記者会見や十一日の野党の書記局長・幹事長会談、問責決議案の提出を受けて開かれた国会議員団会議での志位和夫委員長のあいさつなどで繰り返し明らかにしたのはこのことです。
ひとつは、問責決議案は大変重いものであり、それを行使するにはその重みにふさわしい効果が得られる時期を選ぶべきなのに、現状ではその機が熟しているとはいえないことです。問責決議が可決されても解散・総選挙の可能性がないことは提案者の民主党も認めています。
問責決議は何回も出せばいいというものではありません。その重みにふさわしい効果が得られる状況がないもとでその手段を行使することは、野党にとって重要なたたかいの手段を失うことになります。
もうひとつは、解散・総選挙を実現するには何より国会論戦で自公政権を追い詰めることが重要なのに、民主党がこの国会でとってきた態度にはそのための真剣な姿勢も努力も欠け、もっぱら党略的な都合で問責決議案を提出したことです。
民主党などが問責決議案を提出した十一日はもともと国会で党首討論が予定されていました。ところが、問責決議案の提出で党首討論は取りやめになりました。せっかくの議論の場を「議論したあとでは(問責が)出しにくくなる」(民主党幹事長)などの理由であっさり放棄した民主党に、国会論戦で自公政権を追い詰めるという姿勢は見られません。
差別医療廃止法案成立を
もちろんこうした経過があったにせよ、問責決議が可決された以上、福田首相はじめ政府がこれを重く受けとめるのは当然です。
志位委員長が議員団会議のあいさつでも問責決議が可決されたあとの記者会見でものべたように、日本共産党は国会論戦と国民の運動で自公政権を追い詰めるために全力をあげます。とりわけ高齢者差別医療の廃止法案については、国民の前で徹底した審議を行い、衆院でもこの国会で可決・成立させるため、あらゆる努力を払っていきます。