2008年6月12日(木)「しんぶん赤旗」
石綿被害
救済法改正が成立
委員会で市田議員 最小限の見直し
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石綿被害救済法改定案が十一日の参院本会議で全会一致で可決・成立しました。これに先立つ十日の環境委員会で日本共産党の市田忠義議員は、改定案について、「必要最小限であり、アスベスト(石綿)被害の本格化はまさにこれからだ。引き続き、救済にかんする制度全般についての抜本的・総合的な見直しをすべきだ」と主張しました。
市田氏は、改定案が救済の対象疾病を「中皮腫」と「肺がん」に限っていることにかんして、両親がアスベスト関連工場で働き、十二歳まで工場隣の社宅に住んで「石綿肺」になった大阪府阪南市在住の主婦(51)の事例を詳しく紹介。石綿を扱う作業ではなく住環境で石綿にさらされて被害を受けたことを認め、本法の対象疾病に石綿肺を加え、救済するのが当然だとただしました。
鴨下一郎環境相は「現在、石綿取り扱い施設の周辺地域における石綿関連疾患の発生状況を調査している。できるだけ早く結論をえて救済のあり方を検討する」と答弁しました。
市田氏は、市民団体が石綿被害者のうち八割以上が放置されたままだと試算していることを指摘。そこには「厳しすぎる認定基準がある」として、「法の趣旨を踏まえ、石綿関連作業に従事した経験や居住歴なども含めて総合的に判断すべきだ」と迫りました。
鴨下環境相は「現在のところ認定基準は適切だと考えている」としつつ、「(指摘の点は)その通りだと思う」と述べました。