2008年6月12日(木)「しんぶん赤旗」
「侵略」判断の権限 米国が要求
イラク側拒否 「主権損なう」
【ワシントン=西村央】イラク占領米軍の地位協定にかんする米、イラク両政府間の交渉で、米側がイラクに対する他国からの攻撃を侵略とみなすかどうか判断する権限を要求し、イラク側が拒否していたことが分かりました。米国内各地で新聞を発行するマクラッチー社が九日、ウェブサイト掲載の記事で、イラクのイスラム教シーア派国会議員(複数)の証言として伝えました。
それによると、イラクへの攻撃と米側が判断し、米軍の軍事的対応を可能とするこの項目については、イラク連邦議会議員のなかで、米国とイランとの間の戦争にイラクを巻き込むものとの懸念が出ているといいます。
交渉ではまた米側が五十八カ所におよぶ恒久基地の設置を要求。現在米軍がイラクに有する約三十の基地をさらに広げることになると指摘しています。
米国の要求について、シーア派の国会内最大会派イラク・イスラム最高評議会(SIIC)のサギル議員は、「米国から出されている諸点は占領以上に忌まわしいもの」と批判。マリキ首相の所属会派、ダアワ党のアディーブ議員も米国の要求について「イラクの主権を損なうもの」と指摘しています。
マクラッチー紙は米国側の動きについて、議会指導者が協定に口をはさみたいものの、ブッシュ政権は上院の批准を必要としない「行政協定」とすることを計画していると報じています。
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