2008年6月13日(金)「しんぶん赤旗」

福田内閣信任決議案に対する

穀田議員の反対討論 (要旨)


 日本共産党の穀田恵二議員が、十二日の衆院本会議でおこなった福田内閣信任決議案にたいする反対討論(要旨)は次の通りです。


 福田内閣は、内政でも外交でも国民の期待にそむき、内閣支持率は、政権発足以来下がりつづけ、いまや20%前後です。国民の支持を失っていることは明々白々です。福田内閣は、まさに国民から不信任をつきつけられているのであり、とうてい信任することはできません。

 信任できない第一の理由は、後期高齢者医療制度の四月実施を強行し、それにたいし国民多数の怒りの声が全国で沸騰し、制度の根本問題が次々と明らかになっているにもかかわらず、高齢者差別医療制度の廃止に背をむけているからです。

 後期高齢者医療制度は、七十五歳で線引きし、健保や国保、扶養家族から無理やり抜けさせて別枠の医療制度に囲い込み、保険料は天引きで二年ごとに際限なく引き上げ、保険で受けられる医療給付はどんどん切り下げる、世界に例のない残酷な制度です。

 本来、長生きをみんなで喜び、むしろ高齢者の医療費は無料にしていくというのが、政治のあるべき姿勢です。年齢による差別医療などというものは、いかなる理由であれ許されるものではありません。ただちに廃止すべきです。

 野党が共同提出した後期高齢者医療制度廃止法案は、先日、参議院で可決され衆議院に送付されています。今国会でなんとしても廃止法案を成立させることが国会の責務であることを、主張するものです。

 福田内閣は「国民の目線」を強調しましたが、医療、年金、介護、障害者福祉など国民の生存権が危機に瀕しているときに、社会保障予算の自然増分二千二百億円の抑制政策をとりつづけています。また派遣労働者など非正規労働が増大するもとで労働者派遣法の抜本的改正にこたえようとしていません。

 第二に、道路特定財源の一般財源化に背を向け、新たな高速道路をつくりつづける仕組みを維持しようとしているからです。今国会の争点となった道路特定財源問題では、ガソリン税の暫定税率をつづけ、新たな高速道路建設のためだけにしか使えない仕組みをやめるのかどうかが問われました。

 私たちは、道路特定財源が“総額先にありき”で、新たな高速道路を際限なくつくりつづける「自動装置」の根源となっていることを指摘し、政府の道路建設計画が、一万四千キロにとどまらず、地域高規格道路や六大海峡横断道路まであることを明らかにし追及してきました。

 そうしたなかで、福田総理は「二〇〇九年度から道路特定財源を一般財源化する」と言明するに至りました。

 ところが、政府与党は、三月三十一日で失効したガソリン税暫定税率の租税特別措置法を、四月三十日、「参院否決とみなし」たうえで再議決する歴史的暴挙を行いました。

 しかも重大なことは、「〇九年度から一般財源化する」としながら、道路特定財源を今後十年間にわたって維持する道路財源特例法案を、参議院の「否決」を衆院の三分の二の再議決で覆し、成立させるという暴挙をおこなったのです。

 第三に、アメリカの「対テロ戦争」を支援するためインド洋での米艦船等への補給活動をおこなう「新テロ特措法案」を強行し、海外派兵恒久法づくりをすすめるなど、憲法九条をじゅうりんし海外派兵を推進する内閣だからです。

 安倍内閣は、参議院選挙で大敗し、アメリカに誓約した給油活動継続の見通しが立たないもとで政権を投げ出しました。そして、昨年十一月一日、自衛隊はインド洋から撤退したのです。これこそ民意に合致したものでした。

 にもかかわらず、福田内閣は、再派兵するために新法なるものを提出し、二度にわたり会期を延長し、さらに参議院が否決するや、ただちに衆議院の三分の二の多数でくつがえし、成立をはかったのです。参議院での審議やその意思を一顧だにせず、数の力を頼んで何が何でも押し通すという、議会制民主主義をふみにじる歴史的暴挙をおこなったのです。

 三年前の小泉郵政解散で得た多数議席で、社会保障を削減し国民生活を破壊する、そしてアメリカ追従で憲法九条をふみにじる政治をつづけることは許されません。


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