2008年6月14日(土)「しんぶん赤旗」
後期医療
また天引き もうやめて
対象832万人 全国で抗議
後期高齢者医療制度で年金から二度目の保険料天引きが行われた十三日、高齢者や民主団体、医療関係者らは、同制度の中止・廃止を求めて全国各地で宣伝や署名、座り込みなどを行いました。
東京都文京区内では、全日本民主医療機関連合会(民医連)が宣伝・署名にとりくみました。
民医連の長瀬文雄事務局長は「七十五歳で区切る制度そのものがおかしい」と自民・公明与党の見直し案を批判。日本共産党を除く野党三党(民主党、社民党、国民新党)が衆院で廃止法案の審議に入ろうとしない姿勢についても、「提案者が審議拒否するのはおかしい。これでは民意を無視することになる。正々堂々と議論すべきだ」とのべました。
東京健生病院の山岸太一事務局次長は「送られてくる書類が分からないといって病院窓口に問い合わせる高齢者もいます。国はしっかりと責任を持つべきだ。民主党の審議拒否も無責任な態度」と厳しく批判しました。
会社の同僚と訴えを聞いていた女性(49)=文京区=は「八十歳の父が、年間一万円も保険料が上がったと怒っていた。私たちのころにはもっとひどくなる。今やめさせないと」と話しました。
木陰でビラを読んでいた人(68)=北区=は「一番、苦しい人からお金を取ろうという制度。弱い者いじめをしたら、若い人が将来に不安を持つ。こんな政治はやめるべきだ」。衆院で廃止法案の審議入りをボイコットしている民主党に対しても、「廃止を貫いてもっと必死になってほしい」と語りました。
福岡でも行動
この日、福岡県内各所で後期高齢者医療制度の保険料天引きにたいする抗議と、同制度の廃止を求める集会、街頭宣伝、署名活動などが行われました。
福岡市役所前では、百人を超えるお年寄りが座り込み、抗議集会を開きました。市役所前の歩道には、「後期高齢者医療制度は中止・廃止せよ」と書かれた横断幕が掲げられました。
福岡県年金者組合県本部の古谷信一委員長(75)は「政府は名前を長寿に変えようとしたり、修正で対応しようとしている。応分の負担ではなく弱者から金をとる制度は廃止しかない」と厳しい言葉で政府の対応を批判しました。
同組合福岡市協議会の吉田安丸議長(75)は「いっせい不服審査請求には福岡で三百五十八人が立ち上がった。怒りと廃止の願いが届くまで声をあげ続けよう」と呼びかけました。
集会には、田村貴昭、小林とき子、しのだ清各衆院九州・沖縄比例予定候補も参加しました。田村候補は「根本から間違っているのだから廃止しかない。廃止法案は衆院で速やかに審議を行い、可決・成立させるべきだ」とあいさつしました。
同集会は、福岡県社会保障推進協議会や福岡市社会保障推進協議会、福岡県年金者組合福岡市協議会が主催。医療関係や土建、業者などの団体、市民団体など十二団体から参加がありました。
北九州市でも同日夜、同制度の廃止を求める緊急市民集会が開かれ、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員も参加しました。
13日に実施された年金からの保険料天引きは、4月に続いて2回目で、対象者は約832万人です。
天引きされたのは、3月末まで国民健康保険に加入していた75歳以上の人たちです。年金は偶数月に支給されるため、2カ月分の保険料がまとめて引かれました。
65―74歳の国民健康保険料は、約53万人が天引きされました。