2008年6月14日(土)「しんぶん赤旗」

日本農業の持つすばらしい力とは?


 〈問い〉 これからの世界的な食料事情を考えると、日本の農業のもっている国際的な役割、国内的な役割を見直す必要があると思っています。日本共産党は、日本農業のもつ役割についてどう考えていますか?(宮城・一読者)

 〈答え〉 日本の農業について、財界などから「競争力がない」などと、一生懸命に頑張る農家の努力を足蹴(あしげ)にするような発言がよくあります。しかし、日本の農業には、素晴らしい能力があります。

 何よりも、日本の農業生産力の高さです。

 農地1ヘクタールで何人の人を養えるかをみてみると、オーストラリアは0・1人、アメリカは0・8人、イギリスは2・6人、フランスは2・9人、ドイツは4・5人です。これにたいして、日本は、10・5人です。

 日本では、水田という最も高い生産力をもつ農地が中心となっているからです。そして、日本の農業、農業者が、優秀だからです。

 いま世界には飢餓(きが)で苦しむ人が8億5千万人もいて、その解決が環境問題と並んで人類的な課題となっています。とりわけ最近は、世界的な食料不足があきらかになり、食料の増産が迫られています。そのもとでわが国が、狭い大地で大きな人口を支えてきた力をいまこそ最大限に発揮して農業を多面的に発展させ、食料自給率を向上させることは国際社会への大きな責務です。

 また、日本がもっている豊かな農業生産力、農業者・農業研究者・農業技術者の努力で作り出してきた農業技術などは、飢えに苦しむ途上国に生かせば世界的な農業生産力の向上にも貢献することになるでしょう。

 農業には、その生産活動を通じて、国土の保全、水資源の涵養(かんよう)、自然環境や美しい景観の形成、伝統文化や食文化の継承など、国民の暮らしや環境をまもるうえで欠かせない役割があります。

 農業の多面的な役割は、各国の自然条件や農業生産の内容によっても違いますが、日本の場合、中山間地域や水田の果たす役割が非常に大きいのです。

 中山間地域にある水田は、一般に河川の上流にあることから、大雨が降ったときに水量を調節するダムの役割を果たし、下流の都市を洪水からまもります。

 また、棚田は美しい景観や生態系の保存にとって欠かせない役割をもっています。

 これだけの素晴らしい能力のある日本の農業を「国際競争力がない」などと否定するのは根本的な間違いです。農業を壊してきた自民党政治の責任がきびしく問われています。(村)

 〔2008・6・14(土)〕


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