2008年6月15日(日)「しんぶん赤旗」
岩手・宮城内陸地震
「0%」だった
活断層帯 政府の発生確率予測
日本列島の内陸部の活断層の危険をまざまざと示した「岩手・宮城内陸地震」。今回の地震の震源域北東部までのびている活断層の活動度は、政府の地震調査委員会で「地震が三十年以内に発生する確率をほぼ0%」と評価されていました。今回の内陸直下の地震は、日本どこでもマグニチュード7クラスの地震がおこると想定して震災対策をすすめる重要性を教えています。(宇野龍彦)
M7級どこでも
今回の地震は深さ約八キロでマグニチュード7・2。活断層に詳しい岡田義光・防災科学技術研究所理事長は、「この周辺では過去にも浅い震源の地震が起きている。一八九六年にマグニチュード7・2の陸羽(りくう)地震が発生している」と話します。今回の震源域は、内陸の地震活動が活発なひずみ集中地帯のひとつで、陸羽地震では二百人を超える死者と五千戸以上の建物全壊被害がでました。同じ年に明治三陸地震(津波)も発生しました。
岡田理事長は、マグニチュード7クラスは長さ十―三十キロメートルの活断層が動いたことになるといい、震源北側に「北上低地西縁断層帯」があり、その断層の南側一部か、その延長上の活断層が動いた可能性があるといいます。
政府の地震調査委員会は、阪神・淡路大震災後に「北上低地西縁断層帯」の地震活動を調査し、二〇〇一年六月に、今後三十年以内に断層全体が動くマグニチュード7・8の地震発生確率を0%と評価。岩手県が、政府の交付金でおこなった活断層調査でも、北上低地西縁断層帯の南側の「出店(でたな)断層帯」(長さ二十四キロ)で、今回とほぼ同じ規模の地震(マグニチュード7・3)が三百年以内に発生する確率を0%と評価していました。しかし、評価が今回くつがえされたことになります。
いずれの評価でも、根拠は、この活断層帯の活動周期が二万年程度で、最新の活動が約四千年前と推定されたことでした。このときの調査で、出店活断層帯も最新活動や活動間隔が特定できるデータがなく「北上低地西縁断層帯」も地表で複数に枝分かれしていることや活断層の見逃しがある可能性も指摘されていました。
地震や活断層の専門家は、今回の地震の震源は活断層の過去の活動歴が不明なので、地震がないと安心できる場所ではなかったと見ており、地震の不意打ちに備えた震災対策の強化が政府に迫られています。