2008年6月20日(金)「しんぶん赤旗」

与党チーム

恒久法制定へ中間報告

「警護活動」引き続き検討


 自民党と公明党は十九日、自衛隊の海外派兵を常時可能にする恒久法を検討するプロジェクトチームの今国会の会期中最後となる会合を国会内で開きました。

 会合では、プロジェクトチームの協議の結果を「中間報告」として取りまとめ、二十日に予定される与党政策責任者会議に報告することを確認しました。

 「中間報告」では、(1)国連決議のある場合、ない場合(2)日本の行う活動内容(3)憲法九条との関係(4)国会の関与―を柱とする検討項目について「PKO(国連平和維持活動)参加五原則を維持する」「(PKO以外の活動は)『非戦闘地域』に限定する」「原則として個別案件ごとに国会の事前承認を要することとする」などの点で合意し、恒久法制定の方向を確認しました。一方で、自民党が強く主張していた「警護活動」の追加について、「武器使用権限との関係も併せて引き続き検討する」とし、政府の憲法解釈でも禁じられた海外での武力行使へ踏み込む方向に固執しています。

 公明党の山口那津男座長は会見で「与党として初めて一般法(恒久法)の本格的な政策検討をした意義は非常に大きい。引き続き検討を重ねたい」とのべました。


解説

「次期通常国会めざす」と執念

 自民党と公明党は恒久法を検討する与党プロジェクトチームの「中間報告」で、自衛隊の海外派兵恒久法制定の方向で合意しました。

 国連決議の要否、治安維持・警護・船舶検査のメニュー追加、任務遂行のための武器使用・「駆けつけ警護」などの点では合意に至りませんでした。しかし、自民党が強く主張していた「警護活動」については「武器使用との関係も併せて引き続き検討する」とし、「船舶検査等、その他の活動内容については引き続き議論する」としました。

 警護活動の実施は、実際にはアメリカがイラクやアフガニスタンで展開する「対テロ」掃討作戦への参加に結びつく危険があり、これが憲法九条で禁じる海外での武力行使に当たることは明白です。

 プロジェクト発足時の「基本合意」や今回の「中間報告」では、恒久法制定の基本枠組みとして「現行憲法の範囲内」「従来の憲法解釈を前提」などと強調しています。しかし、海外での武力行使に大きく踏み込む警護、治安維持といった検討項目からみても、ごまかしであることは明らかです。

 プロジェクトでは今国会中に法案要綱、夏までに法案を取りまとめ、秋の臨時国会には法案を提出することを目標としてきました。それが「骨子」にすら至らず「中間報告」にとどまったのは、憲法突破を目指す恒久法策定の動きが、「憲法を守り生かせ」という広範な国民世論との矛盾を激しくしているからです。町村信孝官房長官は十八日、恒久法案の臨時国会への提出は「なかなか難しい」とのべました。

 一方で、プロジェクトチームの山崎拓座長は十九日開かれた自派閥の総会で「(恒久法について)必ず次期通常国会を目指したい」とのべ、秋の臨時国会中の法案取りまとめに執念を示しました。海外派兵国家づくりをめぐるせめぎあいが続きます。

(中祖寅一)


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