2008年6月21日(土)「しんぶん赤旗」
「サマータイム」どう考える?
〈問い〉 「サマータイム」について、どう考えますか?(東京・一読者)
〈答え〉 サマータイム制度推進議員連盟(日本共産党を除く)は今秋にも「サマータイム法案」を国会に提出しようとしています。
サマータイム導入については、国民の中にさまざまな意見があり、懸念・不安もだされています。政府・関係省庁は、サマータイム導入にともなう影響についての客観的データを示し、国民的議論が活発にできるようにすることが求められます。
サマータイム導入の動きは、これまでも数回、石油ショックの時や不況時に省エネルギー対策、景気対策として、ありました。最近では、2005年と今年、地球温暖化対策として環境税の導入を嫌う日本経団連が要望し、政府の「骨太指針」で「サマータイム導入によるライフスタイルの変更」をうたいました。地球温暖化対策にむけた国民の意識改革も導入理由にあげられてきています。
サマータイムは、日本でも1948年、「電力、石炭の節約」「国民保険の増進に寄与」を目的に実施されましたが、「労働強化」「睡眠不足」を招き、4年間で廃止されました。
サマータイム議連の案は、3月の最終日曜日午前2時〜10月の最終日曜日午前2時までを1時間進めたサマータイムとする、というものです。夕方の明るい時間に、レジャー、スポーツなどの「ゆとりと豊かさが実感できるライフサイクル」の実現を目的にしています。
しかし、日本の風土・気候からいっても、サマータイム導入に積極的意義があるのかどうかは疑問です。
「日本の睡眠時間は欧米に比べて短く、欧米では、睡眠時間が増えているのに、日本では減少」(NHK国民生活時間調査)しています。そこに、サマータイム制をとりいれればどうなるか。日本睡眠学会の報告は「睡眠や生体リズムに対する影響を通じて、健康に悪影響を与える可能性があり、健康弱者には辛い制度」と指摘しています。
日本の労働者の年間総労働時間が2000時間を超え、加えて長時間の通勤時間を強いられる―帰宅後、余暇を楽しむ時間がとれない最大の理由はここにあります。労働時間の大幅短縮と違法なサービス残業是正こそが先決ではないでしょうか。
サマータイム導入による省エネ効果についていえば、地球温暖化対策で実施しなければならない削減目標の0・1%にすぎません。温暖化対策は、長時間過密労働の恒常化、コンビニの終日営業、自動販売機・照明広告など24時間化した社会構造を見直すことを含めて、総合的に検討すべきです。(塩)
〔2008・6・21(土)〕